薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN
2020/08/04
MRとは?仕事内容から平均年収・就職に有利な資格までを紹介!
医療関係の職業には医師や薬剤師などさまざまな種類があり、MR職も医療関係職の一つです。医療職の情報サイトや転職サイトでMRのことを知り、興味を持った方も多いのではないでしょうか。
MRは医療現場に直接身を置くことはないものの、現代の最新医療に欠かせない役割を担っています。
当記事では、MRの仕事内容や平均年収、就職に必要なもの・有利な資格を紹介します。MRとして働きたい方は、ぜひ一読してください。
1.MRとは?
MRとはMedical representativeの略称であり、日本では医薬情報担当者と呼ばれる職種です。病院・クリニックに勤務する医師や薬剤師へ、自社医薬品に関する最新情報を提供することがMRの主な業務であり、医療現場に直接関わることはありません。勤務する場所も製薬企業の営業部門です。
製薬企業が開発した新薬やジェネリック医薬品は、正しく使わなければ効果を得られないだけでなく、副作用を起こすケースもあります。
MRの役割は、医薬品情報を医療従事者へ提供し、医薬品の適正な使用・普及を図ることです。同時に、医療現場で得られた医薬品の有用性・安全性について情報収集も行います。
よく似ている職業に、医薬品卸売業の営業担当者を指すMS(Marketing Specialist)がありますが、MRとMSは仕事の目的が異なります。MSは医薬品・医療材料・医療機器などさまざまな商品を医療現場に提供する職業であり、主な業務は医薬品販売と価格交渉です。対して、MRの業務は医薬品に関する情報提供・収集であるため、医薬品の販売自体は行いません。
2.MRの仕事内容
MRの仕事内容を簡単に説明すると、下記の3点に集約されます。
- ①病院やクリニックなどに勤める医療従事者を訪問する
- ②自社医薬品の情報提供を行う
- ③医療現場で得られた医薬品の関連情報を収集する
MRには、特定分野に関する医薬品のみを担当する領域専門MRも存在するものの、大まかな仕事内容は変わりません。ただし、訪問する医療機関の規模によって、仕事の流れが異なるケースもあります。
規模の違いによる仕事の流れを見てみましょう。
・小規模な医療機関の場合
- ①朝は特約店に行き、MSと情報交換や営業活動の協力依頼を行う
- ②日中に医療機関を訪問し、医師と面談を行う
- ③夕方は再度特約店に行き、MSと情報交換などを行う
小規模な医療機関を担当するMRは、特約店のMSに協力してもらうことが重要です。MSがドクターへ自社医薬品の使用を促したり、面談の仲介に入ってくれたりすることで、MRの業務がスムーズに行えます。
・大規模な医療機関の場合
- ①朝は出社して業務準備するか、担当する医療機関を訪問する
- ②医療機関では指定の待機場所で、目的の医師と面談できるまで待機する
- ③医師に医薬情報提供を行い、同時に看護師や他の医療従事者ともコミュニケーションを取る
大規模な医療機関ではMRの訪問規制を行っているところもあります。そのため、MRは担当の医療機関で医師と面談できる曜日・時間帯を把握することが重要です。特約店へ行ってMSに協力依頼を行うことは基本的にありません。
なお、医薬品には医療用医薬品と一般用医薬品があり、それぞれ特徴が異なります。
医療用医薬品 | 医師の処方箋を元に、薬剤師が処方する医薬品 |
---|---|
一般用医薬品 | 薬局やドラッグストアで購入できる処方箋不要の医薬品 |
上記2つのうち、MRが扱う医薬品は医療用医薬品です。日本では医療用医薬品の市場規模が大きく、多くのMRが医療機関への情報提供に活躍しています。
3.MRの平均年収
MRとして働く魅力の一つが、平均年収が高いことです。製薬業界は年収が高いことで知られており、製薬会社のMRも同様に高い年収を受け取ることができます。
MRの平均年収を、日本人全体や一般的な職業の平均年収と比較してみましょう。
日本人の平均年収 441万円
出典:国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」
まず、日本人の平均年収は441万円です。対してMRの平均年収を調べてみると、以下の通りとなっていました。なお、下記で紹介しているMRの平均年収は、ファーネットキャリアに掲載されている求人情報の給与データから算出した数値です。
MRの平均年収 約400~700万円
また、一般的な職業の平均年収は、下記の通りとなっています。
金融業・保険業の平均年収 約630万円 医療・福祉の平均年収 約400万円 不動産業・物品賃貸業の平均年収 約445万円 サービス業の平均年収 約360万円
出典:国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」
MRと関係が深い医療・福祉の平均年収は約400万円です。一方で、高年収とされている金融業・保険業の平均年収は約630万円であり、同程度の平均年収を狙えるMRは魅力的であることが分かるのではないでしょうか。
総括すると、MRとして働くことで、日本人全体における平均年収以上の年収額が期待できます。求人情報によって提示する給与額に振れ幅があるものの、待遇がよい企業に就職することで高年収を目指すことが可能です。
4.MRに就職するために必要なものとは?
MRとして働くことを希望する方にとって、「MRになるには特別な学歴・資格が必要か」は気になる点ではないでしょうか。実際には、MRになるための学歴・資格は明確に定められていません。
しかし、MRの求人情報は応募資格を定めていることがほとんどです。
最後は、MRへ就職・転職活動する場合に知っておきたい採用条件について解説します。
4-1.大卒レベルの学歴が求められ文系の人でも就職可能
製薬会社のMR採用試験では、基本的に応募資格が「大学卒業以上」となっています。高卒や専門卒の方も不可能ではないものの、狭き門となることは覚えておきましょう。
大学卒業の場合は卒業学部が不問であり、理系・文系の違いに縛られることはありません。
医薬品メーカーの採用では専門性がある医療系知識・スキルよりも、医療従事者と信頼関係を結べるコミュニケーション能力や営業経験が重視されます。業務に必要となる医療・製薬の知識は就職後に学習できるため、文系出身者の方でもMRになることは可能です。
医学部・薬学部出身者の方は、MR業務に役立つ資格取得が楽になるケースもあります。
4-2.他の医療職のように特別な資格は必要ない
医師免許や薬剤師資格など、一般的に医療業界で働く場合は国家資格が必要です。一方で医療関係職であるMRは、医療関係者としての特別な資格は必要ありません。そのため、医療に関する資格を全く持っていない方でもMRに就職できます。
ただし、実際にMRとして働く場合は「MR認定資格」を取得するケースがほとんどです。MR認定資格は、医薬品や病気・治療に関する専門知識があると証明するものです。MR認定資格を取得するためには、公益財団法人MR認定センターが実施するMR認定試験に合格する必要があります。
MR認定資格は必須資格ではないものの、大手製薬会社で働く際は基本的に取得が求められるため、就職を希望する方は勉強しておくことがおすすめです。
4-3.営業職であるため自動車免許が必要な場合が多い
MRの業務では、特約店や医療機関を訪問するために忙しく動くこととなります。時には1日に何軒も回らなければならないため、自動車免許が必要な場合がほとんどです。求人情報の応募資格においても普通自動車免許必須となっているケースが多いため、免許未取得の方は注意しましょう。
なお、MRの業務で使用する車両は、基本的に会社側が営業車を用意してくれます。「自動車免許は持っているけど自動車はない」といった方もMRとして働くことはできるため、安心してください。
まとめ
医薬情報担当者であるMRの仕事内容には、医療機関への訪問・医療従事者と面談・情報提供・収集などがあります。
MRの平均年収は約400~700万円であり、日本人の平均年収である441万円と比較して高年収といえます。一般的な職業の中でも高水準である平均年収は、MRとして働く際の大きな魅力です。
MRに就職するための必須資格や経験・学歴はありません。しかし、企業の求人情報では大卒以上・自動車免許取得を応募資格としていることがほとんどです。MR認定資格は就職後に取得すればよいところもあるため、求人情報の詳細をよく確認してください。
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