薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN
2022/06/16
日本とアメリカの薬剤師の違いとは?スキルアップ・収入アップの方法も
国内で薬剤師として働いていると、中には「海外で働く薬剤師の詳細が知りたい」と考える方もいるでしょう。特に、「アメリカの薬剤師は地位が高い」などと言われることもあり、注目する薬剤師は珍しくありません。
今回は、日本とアメリカにおける薬剤師の仕事内容や立場、年収の違いなどを解説します。アメリカで薬剤師免許を取得する方法や、薬剤師としてスキルアップ・収入アップする方法も紹介するため、現役薬剤師の方はぜひ参考にしてください。
1.日本とアメリカの薬剤師比較!何がどう異なる?
薬剤師としてスキルアップしたくなったり、海外で働きたくなったりした際、アメリカで働くことを選択肢に入れる人もいるのではないでしょうか。同じ薬剤師でも、日本とアメリカでは薬剤師の仕事内容や地位・立場などが異なります。
ここでは、日本とアメリカの薬剤師の違いについて解説します。
1-1.仕事内容
日本における薬剤師の仕事内容は職場によって異なります。職場別における薬剤師の仕事内容は、以下の通りです。
薬局薬剤師 | 調剤薬局などに勤務し、医師の処方せんに基づいた調剤業務や服薬指導を行う。在宅医療を受ける患者に薬を届けることもある |
---|---|
病院薬剤師 | 病院に勤め、調剤業務や注射薬・点滴の調整、服薬指導を行う。医師や看護師などとチームで治療にあたる |
ドラッグストア薬剤師 | ドラッグストアでOTC医薬品の説明・販売や、調剤併設の店舗では調剤業務も担当する。品出しやレジ業務を兼ねる場合もある |
企業薬剤師 | 製薬会社などに勤め、薬の開発研究や治験、営業に携わる |
公務員薬剤師 | 国や都道府県・保健所で医薬関連企業を監視・指導する。麻薬取締官や自衛隊薬剤師として働く人もいる |
一方、医療先進国であるアメリカの薬剤師の仕事内容は、働く業種で分けると以下の通りです。
薬局薬剤師 | ドラッグストアに勤務し、お客さんの相談に乗りその人に合った薬を販売する |
---|---|
臨床薬剤師 | 病院などにおける薬物治療をリードする立場で、医師や看護師などとチームで患者を直接ケアする |
コンサルタント薬剤師 | 医療施設などに薬物治療やサービス向上についてアドバイスする |
製薬業界の薬剤師 | 製薬企業に勤務し、開発や営業などに携わる |
ほかにも、アメリカの薬剤師はインフルエンザの予防接種をするなど、仕事内容は日本より多岐にわたります。
1-2.地位・立場
アメリカには薬剤師の助手的な存在である「テクニシャン(pharmacy technician)」という職業があります。ピッキングや薬剤の調製などの調剤業務・雑務をテクニシャンが担当するため、薬剤師は処方監査や患者との対話など、専門性の高い業務に専念することが可能です。
また、アメリカは日本と医療制度が大きく異なり、日本の国民皆保険のような医療保険制度がありません。そのため、体調が悪くなった人がまず頼るのは治療費のかかる病院ではなく、薬局と言われています。病院の医師よりも身近な存在として、薬局にいる薬剤師が信頼されている状態です。
アメリカでは医師との関係性も日本とは異なり、薬剤師が積極的に自分の意見を医師に伝える文化があります。加えてアメリカの薬剤師には「依存型処方権」があり、医師の委任があれば処方せんを書くことができる点も日本との違いです。
1-3.年収
日本の薬剤師の平均年収は約580万円です。
医療費削減の流れが続けば、日本の薬剤師の年収が今後大幅に上がることは難しい可能性があります。
一方、アメリカの薬剤師の年収は1,000万円を超えることもあります。アメリカの薬剤師の年収が高い理由は下記の2つです。
- 人口に対して薬剤師の数が少ない
- 薬剤師への信頼が厚く、需要が高い
アメリカの薬剤師は日本に比べると少ないとされており、希少性が要因となって年収が高くなっています。また、アメリカでは薬剤師は「医師よりも身近な距離にいる医療スタッフ」という立ち位置です。信頼が厚く需要が高いことも、高年収につながっていると言えます。
2.日本の薬剤師がアメリカの薬剤師免許を取得する方法
日本の薬剤師がアメリカで働きたいと思っても、日本で取得した免許をそのまま使うことはできません。アメリカで働きたい場合は、アメリカの薬剤師免許を新たに取得する必要があります。
ここでは、日本の薬剤師がアメリカの薬剤師免許を取得する方法を2つ紹介します。
2-1.FPGEEの認定証を取得する
FPGEEとは「Foreign Pharmacy Graduate Equivalency Examination」の略で、日本語に訳すと「外国薬学大学院同等試験」のような意味になります。FPGEEは、アメリカ以外の国の薬学部を卒業した薬剤師を対象に、アメリカの薬学部卒業と同等のレベルに達しているかどうかを審査する試験です。
FPGEEの認定証を取得したい場合は、FPGEEに合格するほかに、英語の総合的な能力を証明するため、TOEFL iBTで下記のスコアを取得する必要があります。
- Reading: 22
- Listening: 21
- Speaking: 26
- Writing: 24
FPGEEの認定証を取得した後は、自身で病院や薬局などのインターン先を探し、インターンに参加します。州によってインターン期間は異なりますが、500〜2,000時間の実施を課されます。インターン実施後、アメリカ薬剤師国家試験を受験し合格すれば、アメリカの薬剤師免許が取得可能です。
2-2.Pharm.Dを卒業する
Pharm.D(ファーム・ディー)とは、アメリカの薬学における専門大学院博士課程です。
Pharm.Dに入学するためには、4年制大学やコミュニティカレッジに入学し、Prerequisiteと呼ばれる必修科目を修了しなければなりません。アメリカの薬学生と同じように学校に通い、薬学教育を受けるという方法です。
Prerequisiteを修了した後にPharm.Dに入学する流れとなりますが、州によっては日本の薬剤師免許を持っていると、Pharm.Dへの編入が認められることがあります。Pharm.Dで単位を修了し、インターン免許を取得した後は、インターンを行いアメリカ薬剤師国家試験を受けます。
3.日本の薬剤師がアメリカで働くことは難しい?
アメリカの薬剤師免許を取得するためには多くの時間と学費がかかり、薬学の知識だけでなく高い語学力やコミュニケーション能力が必要です。
また、薬剤師免許を取得できても、日本人薬剤師を雇う企業がなければ就労ビザが下りません。アメリカで薬剤師として働くことは不可能ではないものの、時間や費用などを考慮すると、非常にハードルが高いと言えるでしょう。
3-1.スキルアップ・収入アップは国内転職でも実現できる!
薬剤師としてスキルアップ・収入アップを実現させたい場合は、国内での転職も視野に入れましょう。専門職である薬剤師は、働く場所によって業務内容が大きく変わらないため、転職がしやすい職業です。
たとえば調剤薬局から大学病院に転職すれば、最新の医療を学ぶことができるでしょう。製薬業界に転職すれば、営業やプレゼンなどのビジネススキルを身につけられます。スキルアップを実現させたい薬剤師は、研修制度が充実している大手の職場に転職することがおすすめです。
薬剤師専門の転職サイト「ファーネットキャリア」は、膨大な求人案件の中から、一人ひとりに合う転職先をご紹介します。全国11万件以上の医療機関情報から、研修・資格取得支援を重視する方や給与アップを希望する方など、それぞれの転職活動をコーディネーターがサポートします。
コーディネーターが面談での会話の中から、転職を希望される方の長所を引き出すことがファーネットキャリアの強みです。コーディネーターがしっかりサポートし、好条件を引き出せるよう尽力しますのでご安心ください。
まとめ
アメリカの薬剤師は、医師より身近な医療従事者として信頼されている存在です。医師からの委任があれば処方せんを書けるなど、仕事内容は日本と比べ多くなっています。アメリカの薬剤師免許を取得するためには、FPGEEの認定証を取得するか、Pharm.Dという大学院を卒業するかの2通りの方法があります。
薬剤師のスキルアップ・収入アップは国内転職でも可能です。薬剤師専門の転職サイト「ファーネットキャリア」では、求職者様一人ひとりにぴったりの求人情報をご提案します。まずはぜひご相談ください。
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