薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN
2022/01/28
派遣薬剤師のメリット・デメリットは?勤務先の特徴や注意点
薬剤師は、正社員としてだけでなく、派遣社員・契約社員・パート・アルバイトなどあらゆる勤務形態で働くことが可能です。そして一般的に、派遣社員として働く薬剤師のことは「派遣薬剤師」と呼ばれます。
派遣薬剤師として働くことにはさまざまな魅力がある一方で、注意しておかなければならない点もあります。そこで今回は、派遣薬剤師の概要や主な勤務先、働くメリット・デメリットについて詳しく紹介します。派遣薬剤師として働くことを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
1. 派遣薬剤師とは?
派遣薬剤師とは、その名の通り派遣社員という勤務形態で働く薬剤師のことです。
そもそも派遣社員とは、勤務先と直接雇用契約を結ばず、「派遣元」と呼ばれる派遣会社を通じて、「派遣先」と呼ばれる派遣先の企業で働く人材を指します。正社員として働く薬剤師は、勤務先と直接雇用契約を結びますが、派遣薬剤師は派遣会社と雇用契約を結ぶこととなります。
概要 | 雇用主 | |
---|---|---|
正社員薬剤師 | 勤務先と直接雇用契約を結び、勤務先で働く | 勤務先の企業 |
派遣薬剤師 | 派遣元と雇用契約を結び、派遣先企業で働く | 派遣元の派遣会社 |
また、薬剤師に限らず派遣社員として働く場合はすべて、労働者派遣法によって同一事業所における派遣可能期間は原則として最長3年までと定められています。
第三十五条の三 派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。
引用:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
一部では例外が適用されるケースもありますが、派遣薬剤師として働く際は「3年」が最長の契約期間となることを覚えておきましょう。基本的には、3か月程度の単発派遣(「スポット派遣」とも呼ばれます)、もしくは半年~1年程度の中長期派遣で働きます。
派遣薬剤師として働きたいという場合は、まずはサイトをチェックした上で薬剤師派遣会社選びを行い、選んだ会社にて派遣登録をしなければなりません。登録の際に可能な仕事内容や希望条件を伝え、担当者からマッチ度の高い派遣薬剤師求人が紹介される形となります。
2. 派遣薬剤師の主な勤務先
派遣薬剤師の主な勤務先は、「調剤薬局」「ドラッグストア」「病院」などです。基本的に薬剤師は病院などの医療機関に派遣することができないものの、紹介予定派遣など一部例外もあります。
ここからは、各勤務先についてそれぞれ特徴やメリット・デメリットを紹介します。
2-1. 調剤薬局
調剤薬局では、医療機関で医師が発行した処方箋にもとづいて指示されたお薬をお客さんに渡したり、服薬に関するアドバイスを行ったりします。
派遣薬剤師の勤務先としても代表的な勤務先であり、求人数も多いことから、自分の条件に適した職場も見つけやすいでしょう。日々多くの患者さんとコミュニケーションをとれるため、やりがいを感じやすい点も魅力です。
一方で、個人経営の調剤薬局だとビジネスマナーが身につきづらく、人間関係において窮屈に感じてしまう可能性があります。
2-2. ドラッグストア
医薬品・医薬部外品を販売するドラッグストアは、派遣薬剤師の代表的な勤務先です。ドラッグストアでは、OTC医薬品の販売や説明、調剤業務のほか、レジ打ちや品出しなど、一般的な接客対応も行います。
近年、ドラッグストアは成長産業と言われており、派遣薬剤師の需要も高まっています。給与が比較的高く、セルフメディケーションにも貢献できる点がドラッグストアで働く派遣薬剤師の魅力と言えるでしょう。
一方で、土日祝日も営業しており、かつ営業時間が長いドラッグストアも多く、休みが取りづらい可能性が高いことにも注意してください。
2-3. 病院
病院などの医療機関における派遣社員の就業は法律で原則禁止されていますが、正社員の病院薬剤師が産休・育休などで一定期間休みとなる場合は、ピンチヒッターとして派遣薬剤師が代替業務を行えます。さらに、将来的に正社員として雇用されることを前提とした紹介予定派遣であれば、派遣薬剤師として病院で働くことも可能です。
派遣薬剤師が病院で働くことには、患者さんと密にかかわりながら調剤・服薬指導ができる・地域医療に大きく貢献できるといったメリットがあります。一方で、夜勤や当直勤務など変動した勤務形態によって身体的な負担が多い点にも注意してください。
3. 派遣薬剤師として働くメリット
派遣薬剤師として働くメリットは、下記の通りです。
〇ライフスタイルに合わせて働ける
派遣薬剤師は、勤務可能な曜日や時間だけでなく、期間についても自分で選択した条件下で働くことが可能です。そのため、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができます。
〇一般的なアルバイトよりも時給相場が高い
即戦力となる人材として求められる派遣薬剤師は、勤務条件やスキルに応じて時給が設定されます。そのため、パート・アルバイトの雇用形態で働く薬剤師に比べて時給相場が高いことが特徴です。
〇残業が発生することは少ない
派遣薬剤師として働く場合、残業はさほど発生しません。また、派遣薬剤師の雇用主は派遣会社となり、実際に派遣先企業で働いた時間は派遣会社に報告されます。そのため、サービス残業がほとんどない点も魅力です。
〇さまざまな職場で経験を積むことができる
派遣薬剤師は、定められた契約期間が過ぎればまた次の派遣先企業で働くこととなります。自分が職場のジャンルを制限していない限り、さまざまな職場で経験を積むことができるため、いざ正社員の薬剤師として転職を考えた際も有利となるでしょう。
4. 派遣薬剤師として働くデメリット・注意点
派遣薬剤師として働くことにはいくつかのメリットがありますが、注意点とも言えるデメリットも数々存在します。例えば、派遣薬剤師の場合はボーナスが支払われない・スキルアップをして評価されたとしても、時給がアップするわけではないといった点です。
ここからは、派遣薬剤師として働くデメリットの中でも、特に大きなデメリットを紹介します。
4-1. 有期雇用で安定して就業できるとは限らない
派遣薬剤師として働く場合、あらかじめ雇用期間(派遣期間)が定められた上で、派遣先企業に勤めるケースは多いでしょう。有期雇用はメリットでもデメリットでもあります。
雇用期間が定められている以上、安定就業は叶いません。どれほど自分が働きやすいと感じた職場でも働き続けることができず、雇用期間が終了すればまた次の職場を見つける必要があります。このように、雇用期間内は安定した就業が可能であるものの、全体的に見ると決して安定ではないことを覚えておきましょう。
4-2. 派遣先が変わるたびにルールなどを覚える必要がある
派遣薬剤師として仕事をする場合、3か月未満・3か月・1年など比較的短いスパンで派遣先が変わるケースも多々あります。派遣先企業はそれぞれ異なるルールがあるため、新たな派遣先で働く度にルールを覚えたり、職場での人間関係・患者さんとの信頼関係を築き上げなければなりません。
即戦力として活躍するためには、臨機応変に対応できる柔軟性が求められることを覚えておきましょう。
4-3. 多忙な職場が多くルーティンワークになりやすい
派遣薬剤師を取り入れている職場は、人手不足となっている傾向にあります。そのため、派遣先には多忙な職場が多いと言えるでしょう。
また、多忙な職場の場合、派遣薬剤師は特定業務のみを担うこともあります。場合によっては、調剤や投薬のみ・その他雑務のみなど特定業務のルーティンワークになりやすい点にも注意してください。
5. 派遣薬剤師が向いていないと感じたときは?
下記のような特徴を持つ人は、「派遣薬剤師に向いていない」と言えるでしょう。
- 即戦力となるほどのスキルや経験がない
- これまでと異なるルール下でも柔軟な対応をすることが苦手
- コミュニケーションをとったり、新たな人間関係を構築することが苦手
派遣薬剤師に特に求められるスキルは、「柔軟性」「コミュニケーション能力」です。これらのスキルについて不安がある人は、派遣薬剤師ではなく正社員やパート薬剤師として働くことを検討することをおすすめします。
「ファーネットキャリア」では、全国における正社員・パートそれぞれの薬剤師求人を多数掲載しています。無料登録で専門コーディネーターが希望条件に適した求人案件も提案しておりますので、正社員やパートとして就職・転職を検討している薬剤師の人は、ぜひファーネットキャリアをご利用ください。
まとめ
派遣薬剤師とは、派遣社員という勤務形態で働く薬剤師のことです。正社員として働く薬剤師は勤務先が雇用主となり、派遣薬剤師は派遣会社が雇用主となります。
派遣薬剤師として働くことには、「ライフスタイルに合わせて働ける」「あらゆる経験を積むことができる」などのメリットがある一方で、「安定就業ではない」「柔軟性が必要」「多忙かつルーティンワークになりやすい」というデメリットもあります。
派遣薬剤師として働くことが向いていないと感じる場合は、正社員・パートの雇用形態で働くことを検討しましょう。薬剤師求人をお探しなら、ぜひファーネットキャリアをご利用ください。
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