薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN

2020/05/01

管理薬剤師の仕事内容|働くメリット・デメリットから就職方法まで

薬剤師として次のステップアップを検討している方には、管理薬剤師がおすすめです。管理者の役割を担うため、リーダーシップを発揮したり教育スキルを育んだりすることができます。

しかし、管理薬剤師の仕事内容がわからない状態では、検討することも難しくなるでしょう。管理薬剤師と一口に言っても勤務先は複数あり、仕事内容も業界によって異なります。

そこで今回は、管理薬剤師の立場で働くことのメリット・デメリットに加え、一般的な薬剤師から管理者の立場を目指すためのコツや注意点を解説します。

1.管理薬剤師とは

管理薬剤師とは、薬局をはじめとした薬剤を取り扱う部署の管理職や現場責任者にあたる人材のことです。主な仕事内容は、従業員の監督や医療品などを管理したり、薬剤師の専門的な見地から現場を統括したりします。

薬機法(旧:薬事法)により、薬局や薬品を取り扱う店舗では責任者にあたる人員の設置が義務付けられています。薬剤師も務めることができ、法的登録を目的とした求人も少なくありません。

管理薬剤師の仕事内容は、まとめると以下のとおりです。

  • 薬品など医療品の適切な管理
  • 医薬品、医薬部外品、化粧品、その他商品の陳列作業
  • 有効期限切れの商品や不良品の処分
  • 設備に問題が生じた場合の施設管理者への報告、対応申請
  • 従業員の管理
  • 従業員同士で意見交換会などによる勉強会の開催
  • 講演など外部団体への社会的貢献

現場責任者として働く管理薬剤師は、必ずしも一般的な従業員から選ぶ必要もありません。経営者や店長が兼任することもあります。

2.【勤務先別】管理薬剤師の仕事内容

管理薬剤師は、現場管理者を務めるうえに通常の薬剤師業務も行うため、経験値が増えやすく非常にやりがいのある役職です。

基本的な仕事内容は前述したとおりですが、勤務先によってこまかな部分は異なります。

ここでは、管理薬剤師が活躍する調剤薬局・ドラッグストア・病院・企業と4つの勤務先について、具体的な仕事内容を解説します。

2-1.調剤薬局

調剤薬局での勤務は現場責任者としての業務が主です。薬局の規模によっては一般的な薬剤師と同じく、調剤業務や服薬指導が日常的な業務となることもありますが、医薬品などの在庫や従業員教育に関する責任も負っています。

そのため、管理薬剤師の仕事内容には以下のものも含まれます。

  • 医薬品の在庫管理
  • 在庫の医薬品の品質管理
  • 他の薬剤師や従業員のマネジメント

医薬品はデリケートであるため、取り扱う空間の温度などわずかな変化に影響される可能性もあり、繊細な管理による取り扱いが必要です。在庫数の管理の他、温度調節など品質管理も行います。

従業員のシフト管理や教育も任される立場にあり、ときには接客指導を行うこともあります。

2-2.ドラッグストア

調剤薬局と同様に、ドラッグストアにおいても責任者としての役割を求められるケースが大半です。フランチャイズ店などでは、オーナーや店長が医薬品について詳しくない場合も考えられるため、専門的知識で経営サポートを行うこともあります。

調剤薬局のように医薬品の在庫管理や品質管理、従業員のマネジメントを担当することに加え、シフト制の職場が多いためシフト作成や調整も行います。
また、ドラッグストアでは以下の業務も管理薬剤師の担当分野です。

  • サプリメント、健康食品、OTCの取り扱い
  • 薬機法に触れないようPOPの表現内容をチェック
  • 医薬品以外の取扱商品の把握

ドラッグストアは、集客アップのために一般的な食品やサプリメントを取り揃えていることも珍しくありません。現場責任者として医薬品以外の商品についても正しい知識を持ち、売り上げアップにつながる従業員指導や工夫が求められます。

2-3.病院

医師が在籍しない調剤薬局やドラッグストアとは違い、病院には管理薬剤師を配置しなければならないという法的な定めはありません。そのため、一般的な薬剤師として業務するケースも含まれますが、中には「調剤部長」「薬科長」の肩書きが用意され病院内の責任者を任されることもあります。

調剤薬局で働く場合との違いは、以下のとおりです。

  • 入院している患者への処方や調剤が主な仕事
  • 医師の指導、患者ごとのカルテや薬歴を参考に処方と調剤を行う
  • 調剤薬局よりも数多くの医薬品管理

調剤薬局やドラッグストアでは取り扱うことのない注射薬も管理対象となるため、数多くの医薬品の品質や在庫管理を担当します。

2-4.企業

薬機法によって医薬品を取り扱う調剤薬局や販売店、製薬会社などには管理薬剤師の配置が義務付けられています。最低1名の人員が配置されていなければならず、医薬品の製造を行う一般企業においても管理薬剤師は重要な人材です。

調剤薬局や病院などで働く場合と比べると責任は軽く、一般社員とほぼ大差ありません。
医薬品や従業員の管理の他、デスクワークや資料収集などサポート業務も担当します。

3.管理薬剤師として働くメリット・デメリット

勤務先ごとにこまかな業務や求められる役割が異なる管理薬剤師は、責任感をともなう分、仕事で充実感を得ることができます。

一般的な薬剤師ではなく、管理薬剤師を目指すメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 管理者として責任ある仕事ができる
  • 手当による年収アップが期待できる
  • マネジメントなど多様な業務が経験できる
  • キャリアプランの第一歩となる
  • 業務に関する責任が大きくなる
  • 副業や兼業が法的に禁止される
  • ワークライフバランスの調節が難しくなる
  • 年上への指導も行う必要がある

管理薬剤師は、将来的な収入アップやキャリアアップを目指す場合におすすめです。薬剤師の場合は、一定期間を過ぎると劇的な収入アップが見込めない場合もありますが、管理薬剤師は業務に対する各種手当によって年収が変化します。

従業員教育など薬剤師以外の知識が身につくため、スキルアップや将来のキャリアプランにも役立つメリットが満載です。

ただし、管理薬剤師は責任ある立場となるため、ときには勉強のためにプライベートな時間を使用しなければならない可能性もあります。年上の部下へ指導しなければならない必要性もあるため、目標や責任に対する真摯な気持ちが求められる仕事です。

4.管理薬剤師になるためには?

管理薬剤師を目指す場合、薬剤師の資格以外に特別な条件はありません。長期間パート勤務をしていたという方も目指すことができ、安定した仕事を求めている方にもおすすめです。

ただし、法的に副業や兼業が禁止されているため、複数個所で働いている方が管理薬剤師を目指す場合は、他の職場を退職しなければなりません。

この項目では、管理薬剤師になるための2つの方法を解説します。

4-1.内部昇進する

もっとも一般的な方法は、すでに薬剤師として働いている職場で内部昇進を目指すことです。3年以上の職務経験を積んだのち、希望やスキル、職場の状況などが考慮されて昇進します。

メリットは、すでに気心知れた仲間や職場環境で働けるため、新しい職場でスタートを切る場合と比べると心理的な余裕が生まれやすい点です。

ただし、職場によってはすでに在籍している管理薬剤師が退職しないなど、昇進チャンスが巡ってこない可能性もあります。上司や先輩に相談する他、思い切って転職を検討することもおすすめです。

4-2.転職する

薬剤師から管理薬剤師を目指すパターンではなく、管理薬剤師としての人材を求めている求人へ応募する方法です。転職のため新しい職場環境へ飛び込む不安はありますが、内部昇進を目指す方法に比べて早く管理薬剤師の肩書きを得ることができます。

職場や企業によって管理薬剤師が担当する業務内容や待遇は異なるため、事前に求人情報を隅々まで確認しましょう。

また、管理薬剤師となるために3年以上の職務経験が求められるため、転職活動を始める前に現在の職歴を確認することをおすすめします。

まとめ

ここまで、管理薬剤師の仕事内容や、働くことのメリット・デメリットを中心にお伝えしました。

管理薬剤師の仕事内容には、一般的な薬剤師の業務の他に責任者としての役割が含まれます。資格手当や職務手当などによる収入アップやキャリアの第一歩となるなど、メリットは多くあげられますが、他の業種と同じくデメリットと言える部分もあります。

管理薬剤師を目指すときは注意点も存在するため、慎重に求人を確認してください。

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