薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN
2020/08/04
かかりつけ薬剤師とは?仕事内容からメリット・デメリットまで
2016年4月、診療報酬改定により「かかりつけ薬剤師」制度が始まりました。
かかりつけ薬剤師とは、かかりつけ医のように一人の患者を継続して管理する薬剤師のことです。患者からの薬による治療や、健康に関する相談を受けるかかりつけ薬剤師は、現在の日本において、今後もニーズが高まるでしょう。
今回は、かかりつけ薬剤師が担当する仕事内容からメリット・デメリットまでをわかりやすく解説します。かかりつけ薬剤師として活躍したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
1.かかりつけ薬剤師とは?
かかりつけ薬剤師とは、患者の薬剤管理や相談を継続して担当する薬剤師のことです。
2016年(平成28年)の診療報酬改定により「かかりつけ薬剤師指導料」という項目が追加されたことで、かかりつけ薬剤師制度がスタートしました。
かかりつけ薬剤師が必要とされる背景には、高齢化社会があります。
薬の管理と健康のサポートをことで患者の健康を維持・増進させ、医療費を減らすことが課題です。
1-1.かかりつけ薬剤師の仕事内容
かかりつけ薬剤師の仕事は、薬の処方や管理だけではなく、下記のような役割も求められます。
〇医療機関で処方されている薬や市販薬の一元管理
薬剤師は、調剤薬局・門前薬局や病院にて、処方内容を確認し調剤・服薬指導することが基本の仕事です。
加えて、複数の病院からの処方薬や市販薬を一括で管理し、薬学的管理・指導をします。
服用薬を調べ、薬の重複・服薬状況の確認をすることも仕事のひとつです。
残薬(飲み残した薬)がある場合は医師に相談し残薬調整をしなければなりません。
〇サプリメントや健康食品の管理
患者個人が定期的に摂取しているサプリメントや健康食品などを、総合的に管理することも仕事のひとつです。
薬と飲み合わせが悪い場合は説明・助言を行い、服薬指導をします。
〇夜間・休日などの24時間相談対応
閉局している夜間や休日であっても、薬や健康の相談に応じます。
薬の効果や副作用について、継続的に観察することもあります。
〇在宅患者への服薬指導と薬の管理
在宅診療では、患者の自宅に訪問し、医師や医療機関と連携して薬の指導・服薬管理を行います。
自宅での健康状態や介護について相談を受けることもあり、さまざまな知識が必要です。
かかりつけ薬剤師は、地域住民の身近な存在として、専門的な知識をもって全面的にサポートすることが主な仕事内容だと言えるでしょう。
2.かかりつけ薬剤師になるためには?
かかりつけ薬剤師になるための試験・資格はないものの、誰でもなれるわけではありません。
かかりつけ薬剤師になるためには、下記の要件5つをすべて満たす必要があります。
①3年以上の薬局勤務経験がある
かかりつけ薬剤師になるためには、3年以上の実務経験が必須です。
ただし、対象は「保険調剤を取り扱う薬局」に限られます。
育児休暇や介護休暇などの勤務年数に期間は含まれません。
②当該薬局で週32時間以上勤務している
同一薬局で、週に32時間以上勤務する必要があります。
ただし、育児・介護休業法に則り時短勤務をしている場合は、週24時間以上かつ週4日以上の勤務で条件をクリアできます。
③当該薬局で1年以上在籍している
週に32時間以上勤務している薬局に、継続して1年以上在籍・勤務している必要があります。
④研修認定薬剤師を取得している
薬剤師認定制度認証機構(CPC)が認証している「研修認定薬剤師(認定薬剤師)」の資格を取得している必要があります。
認定薬剤師とは、一定期間の研修や自己研修を経て定められた単位を取得した上で、「自己研鑽を怠らず、継続して資質向上や努力をしている」と認められた薬剤師です。
認定薬剤師になるためには、それぞれ各団体が定める研修を期間内に受講し、単位を取得しなければなりません。
薬剤師認定制度認証機構が認証する認定薬剤師制度には、以下の3つがあります。
- 生涯研修認定制度
- 特定領域認定制度
- 専門薬剤師認定制度
かかりつけ薬剤師になるために必要な認定制度は決まっていないため、興味がある分野を受講しましょう。
⑤医療に関わる地域活動へ参加している
かかりつけ薬剤師は、地域包括ケアシステムの構築において重要な役割を担っているため、「地域活動への参加」も条件に含まれています。
具体的には、下記のような活動です。
- 地域の行政機関、薬剤師会などが主催する地域住民への地域活動
- 主催者側の立場で関わっている薬剤師個人での活動
- 薬剤師として個人の明記がされている活動
医療機関などが主催する住民への相談会や、研修会での講演活動なども対象です。
学校薬剤師として、児童へ医薬品についての講演を頼まれた場合も、地域活動に含まれます。
3.かかりつけ薬剤師のメリット・デメリット
かかりつけ薬剤師は、一般の薬剤師と異なり一人の患者を長期的に担当しトータルで健康をサポートします。
業務内容が多岐にわたるためデメリットもありますが、メリットも多いことが特徴です。
ここでは、かかりつけ薬剤師のメリット・デメリットを紹介します。
〇メリット1:給料アップにつながる
かかりつけ薬剤師は、患者が服用している処方薬から健康食品までをトータルで管理し、飲み合わせの説明や指導もします。
「かかりつけ薬剤師指導料」は通常よりも高い点数となっており、報酬も高いことが特徴です。
厚生労働省の平成30年度診療報酬改定では「薬剤服用管理指導料」の点数も高くなりました。
かかりつけ薬剤師の給料も高くなる傾向にあるため、年収アップも期待できます。
〇メリット2:薬剤師としてスキルアップできる
在宅診療においては、患者の自宅を訪問し、薬の管理や整理をすることもかかりつけ薬剤師の業務です。
薬局勤務だけではできない業務に携われたり、医師や看護師とコミュケーションをとったりとさまざまな面でのスキルアップが期待できます。
〇デメリット1:24時間対応が求められる
かかりつけ薬剤師は患者からの指名制であり、担当の患者に連絡先を渡さなければなりません。
休日・夜間を問わず24時間対応が必要なため、担当が多くなればなるほど負担がかかることがデメリットです。
しかし、一般の薬剤師に比べると患者とより近い距離でコミュニケーションをとることができます。
〇デメリット2:幅広い専門知識が求められる
薬の副作用や体調の変化の観察もしなければならないため、常にあらゆる状況を想定しておく必要があります。
患者の状況が伝わりにくい電話での対応や、家族からの健康相談や食品相談も受けるため、幅広い知識が必要です。
かかりつけ薬剤師に興味のある人は、転職も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。
4.かかりつけ薬剤師への転職はファーネットキャリアがおすすめ
かかりつけ薬剤師は、大変な仕事も多い反面、患者に寄り添った仕事ができるという点に魅力を感じる薬剤師は多くいます。
しかし、かかりつけ薬剤師制度は2016年にスタートした制度で普及が進んでいるものの、薬剤師の人員不足により、かかりつけ薬剤師も不足している状況です。
「かかりつけ薬剤師になりたい!」
「でも、今の職場では理由があり、かかりつけ薬剤師になれない」
上記のように考えている場合は、「薬剤師専門の転職サイト」を活用してみてはいかがでしょうか。
薬剤師のための求人情報サイトである「ファーネットキャリア」では、登録・利用料が完全無料で、専属コーディネーターが相談から内定までをサポートしてくれます。
実際にコーディネーターと面談・電話をして、具体的な希望や条件を絞り込んでいくため、自分にあった就職先を見つけることが可能です。
かかりつけ薬剤師への転職を少しでも考えているのであれば、一度ファーネットキャリアを利用してみてください。
まとめ
かかりつけ薬剤師は、高齢化が進む中でますます需要が高くなっている職業です。
かりつけ薬剤師になるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
まずは自分がかかりつけ薬剤師になる資格があるかどうかをチェックしておきましょう。
キャリアアップとして、かかりつけ薬剤師に転職すれば給与アップも期待できます。
より地域に貢献したいという人や、在宅医療に興味がある人にもおすすめです。
新着コラム
-
2023/06/21
薬剤師が在宅をやりたくない理由は?大変さと在宅医療での役割を解説
-
2023/04/21
薬剤師も活躍するNST(栄養サポートチーム)とは?必要資格も解説
-
2023/03/08
薬剤師はMRに転職できる?MRの仕事内容や転職方法を解説
-
2023/02/09
AI時代の薬剤師の仕事は?AIを活用できる業務と必要スキルを解説
-
2022/12/16
薬剤師に求められる役割とスキル|勤務場所別の業務内容も解説
-
2022/07/12
薬剤師はうつ病になりやすい仕事?ストレスの原因と4つの対処法
-
2022/07/12
在宅療養支援認定薬剤師とは?必要なスキルから取得方法まで
-
2022/06/16
日本とアメリカの薬剤師の違いとは?スキルアップ・収入アップの方法も
-
2022/06/16
薬剤師が青年海外協力隊に参加するメリットは?活動する際の注意点も
-
2022/06/16
薬剤師がスキルアップを実現する方法4つ|身につけたいスキルと経験
-
2022/06/16
薬剤師が共感する「あるある」を紹介!つらさを感じるときの対処法も
-
2022/01/28
派遣薬剤師のメリット・デメリットは?勤務先の特徴や注意点
-
2022/01/28
一人薬剤師とは?魅力や大変な一面・向いている人の特徴
-
2022/01/05
留学する薬剤師が増えている理由は?準備するべきことと流れを紹介
-
2022/01/05
薬剤師は人間関係でよく悩む?4つの対処法とおすすめの転職サイト
-
2021/12/14
男性薬剤師が感じる職場の苦労とは|男性が活躍するためのポイントも
-
2021/12/14
企業で働く薬剤師の種類と仕事内容|転職のコツも
-
2021/11/16
薬剤師はブラックな仕事?よくある職場の特徴も3つ紹介
-
2021/11/16
薬剤師がクレームを受けたときはどう対処する?事前の予防策も
-
2021/09/27
薬剤師の結婚平均年齢|結婚年齢が高くなる原因も解説
-
2021/09/27
薬剤師資格は独学で取得できない理由|薬剤師になった後の独学方法も
-
2021/09/27
子育て中の薬剤師は復職できる?おすすめの職場の特徴も紹介
-
2021/09/27
【薬剤師必見】パターン別の転職事情と成功させるためのポイント2選
-
2021/08/11
薬剤師に向いてる人の性格や特徴は?職場別もあわせて紹介
-
2021/08/11
【女性薬剤師向け】平均年収・働きやすい職場の選び方
-
2021/07/15
薬剤師は海外でも働ける?求められる要素・給料相場・働くメリットも
-
2021/07/15
臨床薬剤師とは?業務内容・平均年収や求められるスキルも紹介
-
2021/06/03
薬剤師の転職失敗例3つ|失敗しやすい人の特徴と成功するための方法
-
2022/12/16
薬局薬剤師の仕事内容|調剤薬局・ドラッグストアの違いや職場環境も
-
2021/05/14
調剤薬局事務の平均年収|地域別・雇用形態別に解説!
-
2021/05/14
薬剤師を辞めたいと思うときによくある理由|取るべき3つの行動とは
-
2022/10/03
疑義照会とは?薬剤師が疑義照会をスムーズに進める方法
-
2021/02/22
【薬剤師】技術・能力の証明やキャリアアップを目指せる資格一覧
-
2021/02/22
薬剤師は英語を活かして働ける!英語力をアップさせる方法も解説
-
2021/02/22
薬剤師の働き方|生活スタイルや勤務している人数も紹介
-
2022/12/16
薬剤師が負う責任とは|事例・調剤過誤を防止するためのポイントも
-
2021/02/22
薬剤師に求められる役割とスキル|勤務場所別の業務内容も解説
-
2021/02/22
薬剤師は大変な仕事?理由や対策・やりがいも紹介
-
2020/12/28
薬剤師として働く魅力・やりがい&辞めたいときの対処法を紹介!
-
2020/12/28
薬剤師の将来性|AIや飽和状態に負けないために大切なこと
-
2020/11/13
薬剤師の離職率は高い?おすすめの転職サイトも紹介!
-
2020/11/13
薬剤師の平均残業時間|残業が多くなる職場別の原因と解決方法を紹介
-
2020/10/29
薬剤師の転職に年齢制限はある?転職の成功ポイントも詳しく紹介!
-
2020/10/29
薬剤師の退職金相場は?職場別の平均金額を説明
-
2020/08/25
薬剤師の転職は志望動機が重要|押さえるべき3つのポイント
-
2020/08/25
薬剤師の仕事内容とは?施設別の業務や年収・やりがいを説明
-
2020/08/04
かかりつけ薬剤師とは?仕事内容からメリット・デメリットまで
-
2020/08/04
薬剤師に必要なコミュニケーションとは?スキルを高めるコツも紹介
-
2020/08/04
MRとは?仕事内容から平均年収・就職に有利な資格までを紹介!
-
2020/06/15
薬剤師の勉強方法|キャリアアップするためには
-
2020/06/15
公務員薬剤師の仕事内容とは?3つの働き方を解説
-
2020/06/15
薬剤師の将来性について|多様化の進む中で求められる能力
-
2022/10/03
病院薬剤師と薬局薬剤師の違いとは?働くメリットと向いている人の特徴
-
2020/05/01
管理薬剤師の仕事内容|働くメリット・デメリットから就職方法まで
-
2022/10/03
漢方薬剤師とは?働くメリット・デメリットからなるための方法まで!
-
2020/05/01
薬剤師の平均的な給料(年収)相場|年収を上げる方法
-
2022/12/16
学校薬剤師の役割と仕事内容|報酬相場・求められるスキルも紹介
-
2022/10/03
薬剤師は副業できるの?おすすめの職種から注意点まで詳しく紹介
実績8,000人以上!!
薬剤師の転職サイト「ファーネットキャリア」では、 あなたのご希望条件に合った案件をご提案するため、掲載求人以外にも全国11万件以上の医療機関情報を元に求人案件をお探し致します。
しかも、経験豊富なコーディネーターが案件のご提供、面談シミュレーション、アフターフォローまでばっちりサポート!医療業界20年以上の就職・転職サポート実績のある株式会社ユニヴだからこそ実現出来る、安心の薬剤師転職サポートを是非ご体験ください。