薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN
2022/07/12
薬剤師はうつ病になりやすい仕事?ストレスの原因と4つの対処法
患者の病気を治すために最適な薬を処方する薬剤師は、高年収で人気の高い職業です。病院だけでなくドラッグストアや薬局など、薬剤師が活躍する場所はさまざまです。薬剤師は人気の高い職業ではあるものの、中には仕事でストレスを感じ、うつ病になる薬剤師もいます。
今回は、薬剤師はうつ病になりやすい仕事と言われる理由や、うつ病につながるストレスの原因と対処法について紹介します。「薬剤師が感じやすいストレスを知りたい」「ストレス解消法を知りたい」という方は、参考にしてください。
1.薬剤師はうつ病になりやすい?うつ病につながるストレスの原因とは
薬剤師は、さまざまな理由でストレスが溜まりやすい仕事です。主なストレスの原因としては下記の4つが挙げられます。
- 職場内での人間関係
- 業務に関するプレッシャー
- 年収や待遇に関する不満
- 休日の少なさ
ここでは、4つのストレスの原因について、ストレスを感じる理由を中心に解説します。
1-1.職場内での人間関係
職場内での人間関係は、ストレスの原因の1つです。薬剤師は医者や患者の他にも、同僚や経営者などさまざまな立場の方と関わりながら、日々仕事をしなければなりません。気が合わない相手がいる場合でも、コミュニケーションを取りながら仕事をする必要があるため、人間関係のストレスを抱える薬剤師が一定数います。
また、調剤薬局やドラッグストアなど、薬剤師の職場は少人数である場合がほとんどです。決して広くない部屋で、いつも同じような顔ぶれで仕事をするため、相性の悪い方が1人いるだけで大きなストレスを感じるでしょう。どの仕事でも人間関係はストレスの原因となりますが、より閉鎖的な環境で働くことは、薬剤師が特に人間関係でストレスを感じる要因です。
1-2.業務に関するプレッシャー
業務に対するプレッシャーも、薬剤師がストレスを感じる原因の1つです。多くの調剤薬局やドラッグストアは人手不足に悩まされており、1人あたりの仕事量が増えています。
調剤薬局では単調な業務をひたすら繰り返すことが多く、ルーティンワークにストレスを感じる方は少なからずいます。また、待ち時間の長さなどでイライラしている患者から理不尽なクレームを言われることもあり、精神的に疲弊することも珍しくありません。
加えて、ドラッグストアでは人手不足という理由で、レジ打ちや商品の棚出しなど、薬剤師の範囲を超えた業務を任される場合があります。苦労して薬剤師の資格を取ったものの、薬剤師の範囲外の仕事をしなければならないことに、ストレスを感じる方がいます。
1-3.年収や待遇に関する不満
年収や待遇に関する不満を抱く薬剤師もいます。厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は約580万円です。
出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
世間的に見れば高収入の職業と言えますが、年収や待遇に満足していない薬剤師は一定数います。
薬剤師になるためには、膨大な時間とお金をかけて勉強する必要があります。国家試験に合格して働き始めてからも、薬剤師は常に最新の薬学情報を取り入れる必要がある上、ミスをしないよう細心の注意を払うことが求められます。また、患者の命に関わる仕事であるため、時には長時間労働を強いられる場面もあるでしょう。業務量の多さやプレッシャーと年収・待遇の不釣り合いが原因で、ストレスにつながる傾向が見られます。
1-4.休日の少なさ
休日が少ないことも、薬剤師がストレスを溜める原因です。職場によって異なるものの、満足できるほどの休日を確保できない薬剤師がいます。
最近では、年中無休のドラッグストアの増加に加え、調剤薬局の在り方が多様化していることもあり、薬剤師は休みが取りづらい状況に置かれています。高齢化に伴い需要が高まりつつある在宅療養支援認定薬剤師の場合は、急患にそなえて24時間待機しなければならないこともあるでしょう。
毎日仕事に追われてプライベートの時間を十分に取れなければ、薬剤師は精神的にストレスを感じます。精神的・肉体的の両面でオン・オフの切り替えが難しくなる結果、うつ病の発症につながる可能性が高まります。
2.薬剤師が「うつ病かもしれない」と感じたときの対処法4つ
薬剤師が「うつ病かもしれない」と感じたときは、早めの対処が必要です。下記のセルフチェック項目を参考に、うつ病の可能性があるか確認しましょう。
- 憂鬱な気分が続いている
- 物事に対して興味関心が持てない
- 長時間寝ても疲れが取れない
- 集中力が続かず、注意散漫である
- 食欲が極端に低下あるいは増加している
- 夜に眠れない、寝ても夜中に目が覚める
- 朝の目覚めが悪い、寝坊が増える
- 自分に自信が持てない、自分には価値がないと感じる
- 自分を責めることが多い
- 将来に希望が持てない
- 生きることが辛いと感じる
上記11項目の中で、4項目以上当てはまる場合はうつ病の可能性があります。深刻な精神症状が出る前に、きちんと対処しておきましょう。
2-1.病院で検査を受ける
うつ症状の自覚がある場合は、病院で検査を受けることをおすすめします。うつ病かどうかを自身で判断することは難しいため、「うつ病のような気がする」と感じたときは精神科医に診てもらいましょう。
うつ病のような精神疾患は治るまでに時間がかかる場合も多く、早期発見・早期治療が大切です。先ほど紹介したセルフチェック項目を参考にして、自分自身の精神状態を確認してください。「最近調子が悪い」「気分が沈みやすい気がする」など、少しでも自覚症状がある場合は病院で専門医の検査を受けましょう。
2-2.生活習慣を見直してみる
生活習慣の見直しは、うつ病の対処法として効果が期待できます。食事・睡眠・運動など基本的な生活を見直してみましょう。
食事は、たんぱく質・脂質をしっかり摂ることで、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンが増加すると言われています。睡眠は長時間寝ればいいわけではなく、睡眠の質に注目することが大切です。寝室の温度・湿度を適度に保ち、部屋を暗くして眠りましょう。寝る前はブルーライトを避けることも重要です。
また、適度な運動を定期的に行うこともうつ病対策になります。外を散歩したり休みの日はジムに行ったりなど、日々の生活に運動を取り入れることがおすすめです。
2-3.趣味に時間を費やす
時間を忘れて趣味に没頭することも、うつ病の症状改善に効果が期待できます。趣味に時間を費やすと、現実逃避ができたり充実感が得られたりします。
スポーツ・旅行・読書・ドライブなど、自分自身が時間を忘れて熱中できることを探してみましょう。趣味があるとストレス解消につながるだけでなく、長い目で見て人生が充実します。仕事で嫌なことがあった日は、自分の好きなことをして気持ちを切り替えましょう。
2-4.転職して職場環境を変える
うつ病の症状が軽いうちに転職することも選択肢の1つです。同じ職場に居続ける以上、ストレスから完全に解放されることはありません。ストレスの原因が職場環境にある場合は、思い切って環境を変えてみましょう。
転職は薬剤師としてのスキルアップにもつながります。薬局薬剤師・病院薬剤師・かかりつけ薬剤師など、さまざまな働き方に挑戦してみることも貴重な経験です。
しかし、転職にはリスクもあります。新たな環境に飛び込むことで、転職前には感じなかった別のストレスに悩まされることもあるでしょう。転職して職場環境を変える際には、求人情報を徹底的にリサーチしてから行動することがポイントです。
まとめ
薬剤師は仕事をする上でさまざまなストレスに晒されるため、うつ病を発症する可能性があります。「うつ病かもしれない」と感じたときは、無理せず早めに対処しましょう。生活習慣を見直したり趣味の時間を確保したりなど、日々の積み重ねが大切です。
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