薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN

2021/05/14

調剤薬局事務の平均年収|地域別・雇用形態別に解説!

医療事務が活躍できる場所は、病院のみではありません。医療機関の近隣で、調剤薬局事務として働くスタイルも人気です。

現在、調剤薬局事務としての転職や就職を検討している場合、給与や仕事のやりがいが気になる人は多いでしょう。同じ医療事務系の仕事と言っても、勤務先が異なれば任される仕事や勤務環境は大きく変化するものです。

今回は、調剤薬局事務が人気を集める理由に加えて、平均年収や収入をアップさせるためのポイントについて紹介します。

1.調剤薬局事務の平均年収

調剤薬局事務の平均年収を、総合的な給与所得者の平均年収と比較したところ、下記のとおりとなっています。調剤薬局事務に関する平均年収は、実際の求人情報をもとに算出した推定値です。そのため、多少の増減が生じる可能性があります。

調剤薬局事務の平均年収 約260万~400万円
給与所得者の平均年収(※) 436万円

出典:国税庁長官官房企画課「令和元年分民間給与実態統計調査」

国税庁が公表した総合的な(業種・職種を問わない)給与所得者の平均年収は、一見すると高いように思えますが、年齢別で比較すると必ずしも高いとは限りません。平均年齢が46.7歳、平均勤続年数が12.4年の条件下で算出されている数値であり、世代ごとの差が正しく反映されているとは言えないためです。

上記の国税庁資料によると、20代の平均年収は下記のとおりでした。

20代の給与所得者の平均年収
20~24歳 248万円
25~29歳 328万円

出典:国税庁長官官房企画課「令和元年分民間給与実態統計調査」

20代で調剤薬局事務として働いた場合、業種・職種を問わず算出された20代の平均年収よりも高収入を得られる可能性があると分かります。経験や勤続年数など勤務先の条件によって多少左右される点を加味しても、「調剤薬局事務の年収は必ずしも低いとは限らない」と言えるでしょう。

1-1.【地域別】調剤薬局事務の平均年収

同じ調剤薬局事務でも、働く地域によって平均年収に差が生じることがあります。北海道・東京・大阪の3エリアで実際の求人情報をもとに平均年収を算出すると、下記のとおりです。

北海道 約260万~360万円
東京 約300万~430万円
大阪 約280万~400万円

北海道の求人は、正社員だけではなくパートタイムも多く、さまざまな雇用形態で働くことができます。大手ドラッグストアによる募集など手当が厚い求人がある一方で、北海道自体のエリアが広いことから、地域差も大きくなっています。

東京都も正社員の他にフルタイムのアルバイト募集が多く見つかりますが、北海道のような勤務地ごとの差がほぼありません。時給も1,000円以上が大半を占めており、平均年収を押し上げています。

大阪府は正社員やフルタイムのアルバイトの他に、パートタイムの求人が多いことが特徴的です。時給は1,000円を超える地域もあれば超えないところもあり、北海道と同様に地域ごとの差があります。

1-2.【雇用形態別】調剤薬局事務の平均年収

地域によってはアルバイトやパートタイムの求人が多く、同じ都道府県内でも時給が異なる場合もあります。そのため、平均年収を見るときは全体の数値の他に、雇用形態別で比較することも重要です。

雇用形態別で調剤薬局事務の平均年収を整理すると、下記のとおりです。

正社員 約300万~400万円
契約社員 約260万~360万円
パートタイム 約60万~100万円
※時給:約1,000~1,700円・週3回・1日4時間程度の勤務を想定

正社員は日曜祝日を休日とする求人が多く、パートタイムは週3日程度の募集が多いことが特徴としてあげられます。パートタイムは扶養控除の範囲で勤務できることをアピールポイントとする求人が多く含まれるため、必然的に他の雇用形態よりも平均年収は低くなります。

契約社員とパートタイムの年収には大きな差がありますが、時給で換算すると差は大きくありません。一方で、正社員は契約社員やパートタイムと比較して年収額が多いですが、管理職やベテランスタッフの影響によるものです。

2.調剤薬局事務が人気を集める理由

調剤薬局事務が人気を集める理由は、大きく分けて下記の2点があげられます。

○働きやすい点

第一の理由は、勤務条件など複数の点において働きやすさを感じられるためです。

調剤薬局事務は、とくに女性にとって働きやすい環境が整っています。地域や勤務先によっては、短時間勤務や日曜・祝日の休みが可能な場合があるため、子育てやプライベートと両立させて働きたい人に最適です。

仕事内容が多岐に渡るため未経験者歓迎・実務経験不問の求人が多く、「専門的知識はないが、接客には自信がある」という人も活躍できます。

○将来性がある点

第二の理由としては、将来を視野に入れて働き続けられる点があげられます。超高齢化社会とも呼ばれる現代の日本は、医療機関と同様に調剤薬局の需要も高く推移している状態です。

厚生労働省が発表した資料によると、下記のとおり「調剤医療費」や「処方箋枚数」に調剤薬局の需要の高さが顕著に表れています。

調剤医療費
平成27年度 78,746億円
平成28年度 74,953億円
平成29年度 77,129億円
平成30年度 74,746億円
令和元年度 77,464億円
処方箋枚数
平成27年度 82,372万枚
平成28年度 82,999万枚
平成29年度 83,886万枚
平成30年度 84,361万枚
令和元年度 84,284万枚

出典:厚生労働省「調剤医療費(電算処理分)の動向~令和元年度版~」

年度によっては若干の増減を見せつつも、過去5年間において同等の「調剤医療費」および「処方箋枚数」を推移し続けていることが分かります。

また、調剤薬局自体が全国各地に存在する点も将来性を期待できるポイントです。ドラッグストア内に調剤薬局コーナーが併設されている場合があり、転居することがあっても転職先に困る心配がありません。

勤務先によってはブランクありでも応募できる場合や、交通費支給・車通勤可など、より働きやすい条件が揃っています。

3.調剤薬局事務が平均年収を高めるためのポイント

調剤薬局事務としての仕事に満足している一方で、収入面に不安を抱えている場合は、年収をアップさせるための工夫を取り入れてはいかがでしょうか。

年収を高めるための主な方法は、下記の2パターンです。

  • 民間資格を取得する
  • 転職を検討する

調剤薬局事務を含め、医療事務の仕事自体は資格保有者ではなくとも応募することができます。一方で経験者優遇の中途採用も多いため、資格取得が年収アップに役立ちます。また、実力重視の勤務先へ転職する方法もおすすめです。

ここでは、年収を高める上記の方法について、詳しく解説します。

3-1.民間資格を取得する

客観的に実力を証明したい場合は、民間企業や養成施設が認定している民間資格の取得がおすすめです。下記のような民間資格が、調剤薬局事務を目指す人やスキルアップを狙う人に向いています。

資格名 調剤情報実務能力認定試験
資格の概要 調剤薬局事務の実務能力が一定レベル以上あることを証明できる資格
受験資格 不問
受験費用 7,700円

出典:医療福祉情報実務能力協会「調剤情報実務能力認定試験」

調剤情報実務能力認定試験は、調剤薬局における業務にひととおり対応できることを証明する資格です。受付業務など幅広い業務に対する知識やスキルをアピールできます。

資格名 調剤報酬請求事務専門士
資格の概要 調剤報酬改定に素早く対応でき、的確に算定や説明ができることを証明する資格
受験資格 不問
受験費用 1級:6,380円
2級:5,280円
3級:5,280円

出典:専門士検定協会「調剤報酬請求事務専門士」

調剤報酬請求事務専門士は、調剤薬局における業務の要である、報酬請求に関する知識を証明する資格です。調剤報酬改定は頻発するため、専門性の高い資格を有していると、周囲からの信頼性が増します。

資格名 医療保険調剤報酬事務士
資格の概要 調剤報酬に関する一定レベルの知識を有していることが証明できる資格
受験資格 調剤報酬事務講座による中間テストで合格する
受験費用 36,000円
(調剤報酬事務講座の受講費用を含む)

出典:医療保険学院「調剤報酬事務講座」

医療保険調剤報酬事務士は、手軽に取得できる資格のひとつです。講座を受講して知識確認のテストに合格するのみで、修了とともに認定証が発行されます。

資格名 調剤事務管理士
資格の概要 調剤薬局における業務全般について、一定レベルの知識と技能を持つことを証明する資格
受験資格 不問
受験費用 6,500円

出典:技能認定振興協会(JSMA)「調剤事務管理士」

調剤事務管理士は、会計や受付など調剤薬局における業務のひととおりを実践できることを証明する資格です。調剤情報実務能力認定試験の主催団体とは異なっているため、いずれか一方を取得しても、両方を取得しても問題ありません。

3-2.転職を検討する

調剤薬局の給与は雇用形態や地域の他に、勤務先によっても異なります。そのため、現在の収入が自分の業務やレベルに見合っていないと感じたときは、転職がおすすめです。現在の職場に待遇改善が期待できない場合は、新しい職場で好待遇を狙いましょう。

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まとめ

調剤薬局事務は、女性を中心に多くの人から人気を集めている仕事です。高い将来性があり、仕事を覚えると全国各地で知識やスキルを活かして活躍できます。

全世代の平均年収に比べると、調剤薬局事務の平均年収は高いものではありません。しかし、20代など若い世代で比較すると、平均を超える高い水準の給与が得られます。

年収アップや新たなキャリアを希望する人は、調剤薬局事務として活躍する道を検討してはいかがでしょうか。

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