薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN
2020/06/15
薬剤師の将来性について|多様化の進む中で求められる能力
医薬品の専門家であり、チーム医療にも欠かせない薬剤師は、現在でも人気のある職業です。病院や調剤薬局、ドラッグストアなど、薬剤師が活躍できる場は多数あります。
しかし、AIといった多様化が進む中、未来における薬剤師の需要に不安を持つ人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、薬剤師の現状や主な就職先をふまえたうえで、薬剤師の将来性について解説します。薬剤師に求められる能力なども解説するため、気になる人は参考にしてください。
1.薬剤師に将来性はあるのか?
薬剤師に関する情報を調べたとき、「薬剤師は飽和状態」「就職は厳しい」といった意見が多数見られます。しかし、そういった意見が本当かどうか、わからない人も多いでしょう。
ここでは、全国の薬剤師数の推移や有効求人倍率といったデータをもとに、現在の薬剤師を取り巻く状況について解説します。
1-1.薬剤師の現状
薬剤師の現状を知るためには、現在どれほどの求人数があるかを確認することが重要です。
実際に、厚生労働省から発表された、2020年1月時点での有効求人倍率は以下の通りとなります。
■有効求人倍率(2020年1月)
医師・薬剤師 全業種平均 正職員(正社員) 4.76倍 1.07倍 パートを含む常勤社員 3.61倍 1.49倍
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和2年1月分について)
医師・薬剤師の有効求人倍率と全業種の有効求人倍率を比べると、薬剤師業界は売り手市場であり、薬剤師が就職先に困るほどの状況ではないと言えます。特に正職員(正社員)に関しては、全業種平均の約4.5倍と求人数も多く、より安定した雇用が期待できるでしょう。
しかし、薬剤師は国家資格職の中でも人気が高い職業です。薬科大学や薬学部の新設も増えていることから、薬剤師の数は近年増加の一途を辿っています。
医療施設や薬局に勤務する薬剤師の数は、1982年から現在に至るまで増加傾向にあり、特に薬局では増加している状態です。
現段階で薬剤師のニーズは高いものの、将来的には飽和状態になる可能性があることを理解しておきましょう。
2.薬剤師としての主な就職先
薬剤師の主な就職先は、「病院などの医療施設」「調剤薬局」「ドラッグストア」「製薬メーカー・工場」の4つです。
ここでは、それぞれの就職先における薬剤師の需要などを解説します。
◯医療施設(病院など)
大学病院や総合病院などの医療現場において、薬剤師は調剤業務や服薬指導だけでなく、医師や看護師とともにチーム医療の一員として活躍しています。医療業界で近年推進されている、在宅医療・介護の分野においても、医療機関の薬剤師は重要な役割を担うことが期待されているため、今後も高い需要が見込めるでしょう。
◯調剤薬局
調剤薬局で勤務する薬剤師の主な業務は、医療施設で発行された処方せんをもとに、調剤業務や服薬指導を行うことです。経営者としての活躍も期待できますが、調剤薬局の店舗数は減少傾向にある一方で、調剤薬局に勤務する薬剤師の数が増加している現実もあります。
◯ドラッグストア
生活に欠かせないドラッグストアにおいて、薬剤師は市販医薬品や日用品・食品などの販売を主に行い、調剤併設型の店舗では調剤業務も行います。調剤併設型ドラッグストアの需要増加とともに、ドラッグストア業界に勤務する薬剤師のニーズも増加傾向にあるため、高収入・高待遇が期待できるでしょう。
◯製薬メーカー・工場
製薬メーカーに勤務する薬剤師は、医薬品の開発を行う研究職(研究者)と、医療関係者への医薬品情報の提供などを行う営業職(MR)の大きく2種類に分けられます。製薬会社に勤務する薬剤師数は減少傾向にあり、特にMRの需要が低下しているため、将来的を考えると難しい部分もあるでしょう。
薬剤師は、業務内容だけでなく、将来性の有無も勤務する職場によって異なります。自分が薬剤師としてやりたい仕事と合わせて、どういったキャリアを歩みたいか考えることも重要です。
3.AIなどに仕事を奪われるって本当?
最近では、さまざまな業界・職種において、AI(人工知能)を活用した働き方改革や業務効率化が進められています。薬剤師業界でもAIの導入がスタートしつつあるため、「近い将来、薬剤師の仕事はAIに奪われるのではないか」という見方をする人も珍しくありません。
例えば、調剤の際のピッキング・飲み合わせのチェック・簡単な服薬指導など、薬剤師の業務の中でも比較的単純な作業は、AIが業務の一部を担うことも考えられます。しかし、薬剤師の仕事はこういった単純な業務だけではありません。
患者さんが持つ医薬品に関する悩みを聞き、不安を取り除くことは、AIでは難しいでしょう。機械にできることは機械に任せられる一方で、患者さんの精神的なサポートなど、人間にしかできない業務も存在します。そのため、AIに全ての仕事が奪われることは考えにくい状態です。
4.多様化の進む現代で薬剤師に求められる能力
高齢化による在宅医療・在宅介護の推進や調薬業務におけるAIの導入など、薬剤師を取り巻く環境はどんどん変化しています。
薬剤師の仕事は多様化していることから、薬剤師として長きに渡って活躍したい場合、さまざまな能力を身につけることが必要です。
ここでは、多様化が進む現代において、薬剤師に求められている能力を3つ解説します。
4-1.専門的な知識・スキル
将来性のある薬剤師になるためには、薬剤師としての専門的な知識・スキルを身につけることは不可欠です。医薬品に関する知識や調薬の技術など、従来から求められているものに加え、自分の考えるキャリアパスに応じた知識・スキルを身につけることがおすすめとなります。
医療の最先端での活躍を考えている人は、「認定薬剤師」「がん専門薬剤師」などの認定資格を取得したり、高度薬学管理に関する知識を身につけたりするとよいでしょう。地域包括医療に興味がある人は、緩和ケアなど、在宅医療や在宅介護に関する知識・スキルを磨くことが大切です。
4-2.コミュニケーション能力
以前は処方せんをもとに調薬し、患者さんに医薬品を渡すことや、市販薬を店舗で販売することが、薬剤師の主な仕事でした。しかし現在では、患者さん・お客さんに応じた服薬の説明や症状の聞き取り、健康相談への対応なども必要であるため、コミュニケーション能力も求められています。
今後は在宅医療や在宅看護への取り組みも本格化するため、さらに高度なコミュニケーション能力が要求されるでしょう。患者さんだけでなく、医療従事者や介護職スタッフ(ケアマネジャー・介護士)など、他業種の専門職との連携をうまく取ることが大切です。
4-3.マネジメント能力
薬剤師としての市場価値を高めたい人は、マネジメント能力を身につけ、管理薬剤師として活躍することも1つの方法です。管理薬剤師とは薬局全体の管理を担う薬剤師を指しており、現在も人員不足の状態であるため、企業からのニーズが高い人材です。
高いマネジメント能力を持つ管理薬剤師は、今後も広く活躍できることが見込まれます。管理が得意な人はさらに能力を高め、職場の管理者として働くことを視野に入れてみましょう。
まとめ
ここまで、薬剤師の現状や主な就職先をふまえたうえで、薬剤師の将来性について解説しました。
薬剤師は人手不足ということもあり、ニーズも高い水準を維持している状態です。一方で、薬剤師の数は増加傾向にあるため、近い将来で飽和してしまう可能性もあります。
長期に渡って活躍したい場合は、自分の考えるキャリアパスに応じたキャリアアップを図ることが大切です。転職活動を行う際には、薬剤師専用の転職サイトを活用し、自分のキャリアをうまく築けるようにしましょう。
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