薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN

2020/10/29

薬剤師の退職金相場は?職場別の平均金額を説明

日本では退職金制度が普及していますが、現在の法律には退職金にまつわる規定がありません。特に薬剤師の場合、勤務先によって退職金が出る条件や実際の受取金額に差があるため、転職することでより多くの退職金を受け取れる可能性があります。

今回のテーマは、薬剤師の退職金相場と退職金の確認方法です。今の職場では退職金制度がないために転職を考えている人はもちろん、今の勤務先に定年まで勤めて退職金を受け取りたい人もぜひチェックしてください。

1.退職金とは?

退職金とは、退職する従業員に対して雇用者が支払うお金のことです。

退職金制度は、従業員のこれまでの働きに対するねぎらいと、退職後すぐの生活に困らないようにという配慮から生まれました。
しかし、労働基準法には退職金の支払い義務が定められておらず、退職金を支払うかどうか、また実際の支給額は各雇用者の判断に委ねられています。

1-1.退職金には4種類がある

退職金制度は、以下の4種類に分かれています。
勤務先がどの制度を採用しているか知りたい場合は、就業規則などを確認しましょう。

●退職一時金制度

従業員が退職するときに、勤務先が退職金を一括払いする制度です。資金源は勤務先の内部留保であり、外部積み立ては行いません。そのため、万が一勤務先が倒産した場合は受取額がゼロになる恐れがあります。

●確定給付企業年金制度(DB)

勤務先が生命保険会社や企業年金基金などの外部機関で掛金を積み立てて運用し、従業員が退職するときにその機関から退職金を支払う制度です。従業員の受給権は守られますが、勤務先の経営悪化などによって受取額が減るリスクがあります。

●退職金共済制度

勤務先が中小企業退職金共済(中退共)などに掛金を積み立て、従業員が退職するときに共済から退職金を支払う制度です。勤務先ではなく共済が運用するため、勤務先の経営悪化などによる受取金額への影響はありません。また、中退共では一括払いだけでなく、5~10年の分割払いなども選択できます。

●企業型確定拠出年金制度(企業型DC)

勤務先が従業員の年金口座に掛金を積み立て、従業員自身が運用する方式です。運用成績によって退職金の受取額が変わるものの、税制優遇措置を受けられるというメリットがあります。

1-2.退職金の金額は勤続年数や仕事内容で変わる

退職金の受取額は退職日の勤続年数と職位(仕事内容)によって決まるため、勤続年数が長く職位が高いほど受取額が上がります。
一方、勤続年数3年未満の従業員には退職金を支払わないケースも少なくありません。

退職金制度はおもに正社員向けの制度ですが、就業規則によってはアルバイト・パートや契約社員も退職金の支給対象者となります。

退職金の金額を決定するもうひとつの要素は、退職する理由です。
会社都合退職や早期退職は金額が高く、自己都合退職は金額が低くなる傾向にあります。
定年退職の場合は、会社都合退職と自己都合退職の中間くらいです。

2.薬剤師に支給される退職金の平均相場と職場での違い

薬剤師が受け取れる退職金の平均相場は勤続年数30年で約1,330万円ですが、勤務先の規模や就業規則によって実際に受け取れる金額は異なります。

ここからは、多くの薬剤師が活躍する調剤薬局・医療施設・ドラッグストアにおける退職金の平均相場や職場ごとの違いを解説します。

2-1.調剤薬局で働く薬剤師の退職金

調剤薬局の退職金は、勤続年数30年で給与40か月分程度と言われています。
中小企業退職金共済に加入している調剤薬局の場合、勤続年数30年で自己都合退職するときの退職金額はおおむね以下の通りです。

大学卒
(52歳)
高校卒
(48歳)
従業員数100~299人 11,389,000円 7,119,000円
従業員数50~99人 7,113,000円 5,210,000円
従業員数10~49人 6,787,000円 5,430,000円

出典:中小企業退職金共済事業本部「8-3-3.退職金の世間相場はどれくらいですか?」

2-2.医療施設で働く薬剤師の退職金

公立病院や保健所などの公的な医療施設で働く公務員に該当する薬剤師は、平均33万円の月収を得ています(※1)。

勤続年数30年で定年を迎えたとすると、退職金の基本額は月給33万円×50.7(退職理由別・勤続年数別支給率※2)=約1,670万円です。実際には、基本額に調整額(調整月額のうちその額が多いものから60か月分の合計額)を足した金額が支払われます。

勤務先によって大きく異なるものの、民間医療施設で働く薬剤師の退職金は約800~1,200万円が相場となります。

出典1:総務省「第5表 職種別職員の平均給与額」

出典2:総務省「地方公務員の退職手当制度について」

2-3.ドラッグストアで働く薬剤師の退職金

ドラッグストアや製薬会社の場合、勤続年数だけでなく役職によっても退職金の金額は変わります。たとえば、勤続年数30年で店長・管理薬剤師なら約1,500万円、エリアマネージャーや基幹店舗の店長なら約2,000万円が退職金の相場です。

ドラッグストアの経営母体の多くは大手企業であり、また薬剤師以外の従業員も多いため、ドラッグストアの退職金制度や各種福利厚生制度はかなり充実しています。

3.薬剤師の退職金の確認方法

今の勤務先がどの退職金制度を導入しているのか、あるいは自分がもらえる退職金の金額が知りたい人もいるでしょう。
退職金の確認方法は、勤務先の就業規則や積立金の運用先によって変わります。

【勤務先の退職金制度がわからない場合】給与明細や就業規則などで確認する

まず給与明細から退職金制度の有無を確認します。明細に「退職金掛金」「企業年金掛金」「確定給付掛金」などの項目があり、なおかつ金額が記載されていれば、退職金が積み立てられている証拠です。

次に、就業規則や退職年金規定・企業年金規約などを参考にして退職金の金額を試算しましょう。定額制であれば、就業規則に金額が掲載されています。基本給によって金額が変動する場合は、「基本給×勤続年数×規定の給付率」で算出できるでしょう。

【勤務先が中退共に加入している場合】中退共のサイトで確認する

中退共サイトのモデル退職金額表からおおまかな金額をシミュレーションしてみましょう。なお、モデル退職金額表は東京都産業労働局のデータに基づくものであり、実際の金額は職種・企業規模・勤務地によって変動します。

【勤務先が確定拠出年金に加入している場合】確定拠出年金の記録を確認する

年金を管理している記録関連運営管理機関からの通知書やWebサイトを確認しましょう。現時点での資産残高や運用状況がデータ化されており、退職金額も把握できます。

【上記の方法で確認できない場合】人事・総務に問い合わせる

可能であれば、勤務先の人事・総務担当者に退職金制度について尋ねてもよいでしょう。ただし「今もらえる退職金はいくら?」と聞いてしまうと印象が悪くなる恐れがあるため、「勉強のために」などと理由をつけましょう。

また、転職活動中などに、まだ入社していない会社の退職金制度が気になることもあります。面接で退職金について質問すると、「すぐ辞めてしまうのでは?」と思われる恐れがあります。そのため、応募先企業の退職金が気になるときは、求人票で退職金制度の有無を確認するか、転職エージェントに聞いてみましょう。

4.退職金が出る定年まで働くか転職するか迷ったら?

今の勤務先に長くとどまってより多くの退職金をもらうべきか、スキルアップなどを兼ねて早めに転職すべきか迷うこともしばしばです。
薬剤師として働く中で定年まで働くか転職するか迷ったときは、薬剤師向け転職サイト「ファーネットキャリア」を活用すればヒントが見つかるでしょう。

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定年後を見据えたキャリア形成を行いたい人は、ファーネットキャリアに相談してみましょう。

まとめ

勤続年数30年の薬剤師の退職金相場は、調剤薬局で約520~1,100万円、医療施設では約800~1,700万円、ドラッグストア(管理職)は約1,500~2,000万円です。

なかには退職金制度自体がない勤務先もありますが、「退職金がないからブラック企業だ」と早とちりしないよう注意しましょう。退職金がなくても給与・賞与額が高ければ合計収入も上がり、福利厚生がしっかりしていれば安心して長く働けるためです。

退職金を考えて定年まで今の職場で働き続けるか、給与の高い勤務先に転職すべきか迷っているときは、薬剤師専門の転職サイト「ファーネットキャリア」に相談してみてください。

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