薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN

2021/09/27

薬剤師資格は独学で取得できない理由|薬剤師になった後の独学方法も

薬剤師とは、医薬品に関する幅広い知識を持った専門家のことです。医療機関や調剤薬局などで患者への調剤・服薬指導を行ったり、ドラッグストアなどで薬に関するアドバイスや市薬品の販売を行ったりすることが主な仕事内容で、あらゆる場所で働けるという魅力も持っています。

高齢化社会が進む近年、薬剤師をはじめとした医療業界の需要は高まる一方です。実際に、日本の未来を少しでも支えるべく、薬剤師を目指しているという方は多いでしょう。そして中には、「独学で薬剤師を目指したい」という方もいます。しかし、薬剤師資格は独学で取得することができません。

今回は、薬剤師資格を独学で取得できない理由や社会人が薬剤師になるための方法を解説します。加えて、薬剤師となってからの独学方法や、すでに薬剤師資格を持っている方におすすめの資格も紹介するため、薬剤師として活躍したいという方はぜひ参考にしてください。

1.薬剤師資格を独学では取得できない理由

薬剤師資格は、独学で取得することができません。

薬剤師資格を取得するためには、まず国家試験に合格する必要があります。この国家試験には受験資格が定められており、受験資格を得るためには「6年制薬学部」を卒業しなければなりません。また、海外の薬学校を卒業した方もしくは海外で薬剤師免許を有している方の場合は、厚生労働大臣から「国内の6年制薬学部を卒業した者と同等かそれ以上の学力・技能を有している」と認定される必要があります。

法改正が行われる2006年(平成18年)まで、薬学部は4年制が基本で、4年間の薬学課程を修了・卒業すれば薬剤師国家資格の受験資格は得られました。しかし、現場で通用するより高度なスキルを身に付けることを目的とした法改正により、受験資格は6年制に改定されます。

また薬剤師の国家試験では、ただ教科書に記載されている内容がそのまま出てくるわけではなく、実践的・実用的な知識が求められます。実際に現場で役立つ実践的なスキルは、独学で学ぶことはできないでしょう。

このように医療技術の発展に伴って、薬剤師資格の取得難易度も高まっていることが現状です。

1-1.薬学部受験に際し独学が難しい理由

薬剤師資格は、そもそも国家試験を受験するための条件が厳しいため、大学に通わず独学で取得することができないことを説明しました。しかし、独学の厳しさはそれだけではありません。独学で薬学部に合格することもまた、高い難易度を有しています。

薬学部受験に際し、独学が難しい理由を下記にまとめました。

〇非常に多くの勉強時間を確保しなければならない

薬剤師の国家試験では、非常に幅広い知識が求められます。学習内容の難易度も高いため、実際に単位が足りず留年してしまう学生も多くいます。

また、直近3年間の薬剤師国家試験の合格率は、70%前後で推移していることが特徴です。

2021年 2020年 2019年
68.66% 69.58% 70.91%

出典:厚生労働省「第106回薬剤師国家試験の合格発表を行いました」

出典:厚生労働省「第105回薬剤師国家試験の合格発表を行いました」

出典:厚生労働省「第104回薬剤師国家試験の合格発表を行いました」

6年間、薬学部での授業を受けていたにもかかわらず、100人中30人程度は不合格となっていることを考えると、決して難易度の低い国家資格とは言えません。合格を狙うのであれば、非常に多くの勉強時間を確保する必要があるでしょう。

〇効率的な勉強が難しい

薬学部に受験するためには、まず薬剤師に必要な基礎知識・スキルが必要です。しかし、誰にも教わることのない独学は目標が立てづらかったり、自己管理がしにくくなったりして、結果的に心が折れてしまうケースも珍しくありません。

また、独学の場合は先生や同じ夢を持つ方から最新の情報を聞き出すことも難しくなり、効率的に勉強することができなくなることにも注意してください。

薬学部の合格は、医学部に次ぐ難関です。医薬品や健康に関する専門知識をまったく持たない方が独学で薬学部を受験しても、合格の可能性は高くありません。個人の学力や能力によっても異なるものの、薬学部へきちんと合格したいのであれば、学習塾や進学校に通ってある程度の知識を持っておくことがポイントです。

2.社会人が薬剤師になる方法とは?

また、薬剤師を目指す方の中には、すでに何らかの仕事をしている方も多々いるでしょう。社会人が薬剤師を目指すなら、下記の方法が最も一般的です。

6年制の薬学部を設けている大学に入学→受験資格を得る

具体的なスケジュールは、下記を参考にしてください。

(1)入学 まずは、6年制の薬学部を設けている大学に入学しましょう。中には、定員割れで比較的入りやすい学校もあります。
(2)薬学共用試験 4年次では、薬局や医療現場の実務実習に向けて、必要知識や意識が備わっているかどうかを確認するための試験を受けます。
(3)実務実習 5年次では、薬学共用試験が修了したあと、実際の現場で役立つ実務実習を行います。
(4)卒論文・試験対策 6年次(卒業年度)では、卒論文の制作・国家試験対策が行われます。後期からの国家試験対策では、学校側からのサポートも受けながらこれまで得た知識・スキルを振り返ります。

また上記の通り、薬剤師を目指すためには薬学部課程を修了する必要があります。通信講座や夜間部はなく、通常の学生のように平日の朝から夕方まで学校に通わなければなりません。そのため、社会人として働く傍らで薬剤師を目指すことは非常に困難です。

前述したように、薬剤師は専門学部への合格から狭き門となります。未経験者である社会人が一から薬剤師を目指すこと自体、難易度が高いと言えるでしょう。

3.薬剤師になってからの独学方法は?何を学んだらいい?

勉強が必要な時期は、薬剤師資格を取得する前・薬剤師として活躍する前だけではありません。薬剤師として働き始めたあとも、調剤業務について・服薬指導について・医薬品に関する知識について・接客についてなど、一人前の薬剤師となるために日々勉強を積み重ねる必要があります。

薬剤師は、勤務先によって主な働き方が大きく異なることが特徴です。活躍の幅を広げたいのであれば、職場ごとに異なる働き方に適したスキルも身に付けておきましょう。

例えば医療機関や調剤薬局では患者への服薬指導のほか、他スタッフと連携を取りながら業務を進める必要があります。薬剤師としてのスキルはもちろん、コミュニケーションスキルも重要です。

薬剤師となってからも、上記のような薬剤師を目指す中で学ぶことのできなかったスキルを日々勉強するかしないかで、今後の活躍の幅は決まると言っても過言ではありません。

では、薬剤師に必要なスキルはどこで勉強すれば良いのでしょうか。

独学での勉強方法として、最もおすすめなのが「本や参考書を読む」「セミナーや講習会を受ける」の2点です。特にセミナーや講習会は同じような悩みを持つ薬剤師と関われることも多々あり、貴重な情報交換の機会となる可能性もあるでしょう。本や参考書はあくまでもテキストでの勉強となるため、効率的に学びたいという方はセミナーや講習会の方が有効です。

4.薬剤師資格を持つ方におすすめの資格

薬剤師に必要なスキルを幅広く身に付けておけば、転職の際も有利となります。薬剤師資格を持つ方におすすめの資格として、認定薬剤師・専門薬剤師の2つが挙げられます。下記は、認定薬剤師・専門薬剤師の一部をまとめた表です。

認定薬剤師
  • ・外来がん治療認定薬剤師
  • ・抗菌化学療法認定薬剤師
  • ・在宅療養支援認定薬剤師
  • ・妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師
  • ・小児薬物療法認定薬剤師
専門薬剤師
  • ・医薬品情報専門薬剤師
  • ・HIV感染症専門薬剤師
  • ・がん専門・指導薬剤師
  • ・腎臓病薬物療法専門薬剤師
  • ・感染制御専門薬剤師

上記のように、認定薬剤師・専門薬剤師にはそれぞれ細かな資格の種類が存在するため、すべての資格を取得することは現実的ではありません。しかし、細かな資格を取得することで「よりそのジャンルに特化している・専門性のある薬剤師」と評価されるはずです。

まずは自分が得意とする分野の理解を深め、特定のジャンルでキャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。

まとめ

高齢化社会により医療業界の需要が高まっている近年、薬剤師は多くの魅力がある職種だと人気です。中には独学で薬剤師を目指したいと考える方もいますが、薬剤師の国家試験は非常に難易度が高く、そもそも国家試験の受験資格として「6年制薬学部課程の修了・卒業」が定められているため、独学で薬剤師になることはできません。

また、薬剤師となってからも日々新たなスキルを磨く必要があります。薬剤師となってからの勉強は、独学であることがほとんどです。勉強を積み重ね、特定のジャンルに特化した資格をまた取得できれば、転職の際も非常に有利となるでしょう。

ここまでの内容を参考に、転職を検討している薬剤師の方は、ぜひ求人・転職サイトの「ファーネットキャリア」をご利用ください。

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