薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN

2022/10/03

薬剤師は副業できるの?おすすめの職種から注意点まで詳しく紹介

普段は薬剤師として働いている方の中には、副業を検討している方が少なくありません。薬剤師の中には、副業OKの業種や職種もあれば、全面的に禁止されているケースもあるため、実際に副業を始める場合は慎重な行動が求められます。

副業が可能な場合、当然薬剤師の資格とは無関係な業界を選ぶことはできますが、働きやすさを考えると知識や経験を生かせる仕事は捨てがたいものでしょう。

そこで当記事では、薬剤師の資格や経験を生かして働ける、おすすめの副業について紹介します。薬剤師が行える副業について興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

1.薬剤師は副業できる?

薬剤師は、基本的に一部の方を除いて副業が可能です。副業を法律で禁止されている薬剤師には、以下の2つがあります。

  • 公務員の薬剤師
  • 管理薬剤師

公務員試験に合格して、国公立病院などで勤務している場合は、公務員の薬剤師にあたります。他にも、国や自治体の薬事行政・薬事衛生・環境衛生に関わっている薬剤師も同様です。

教師など他の公務員と同じく法律で副業を禁じられており、副業を行ったことが発覚すると、停職や免職などの処分を科される可能性があります。

管理薬剤師の副業も、法律で禁じられている行為です。ただし、公務員の薬剤師と比べて「都道府県より公益性を認められる場合は兼業可能」という、柔軟な条件が設けられています。例えば、薬剤師会による事業に参加する場合は、副業を認められる可能性が高いでしょう。

公務員薬剤師や管理薬剤師に当てはまらない薬剤師は、副業を行えます。調剤薬局やドラッグストアなど民間企業に勤務している薬剤師のうち、管理職ではない方であれば、常識の範囲内での副業が可能です。

ただし、調剤・服薬指導・患者対応・医薬品管理などすべての業務を1人で担う「1人薬剤師」の場合は、管理者とする明確な肩書きがなくとも注意してください。部下がいなくとも、副業が法的に禁じられている管理薬剤師にあたる可能性があります。

2.薬剤師におすすめの副業8選

薬剤師の資格を生かすことで、さまざまな業種で仕事を探せます。中には接客する必要のないデスクワークもあるため、本業とは異なるスタイルで働きたい方は医療業界にこだわらず、幅広い業種で仕事を探してはいかがでしょうか。

ここでは、薬剤師におすすめの副業を8つ取り上げ、それぞれの特徴をメリット・デメリットとともに紹介します。

2-1.薬局薬剤師

薬局薬剤師は、調剤薬局で調剤・服薬指導を行う薬剤師です。薬局薬剤師は多くの薬剤師にとって馴染み深い業務内容であるため、安心して働くことができます。人手不足により、週2日程度のアルバイトやパートでも2,000円前後の時給で働けるところも少なくありません。

  • メリット…慣れた業務内容であるため、ストレスや戸惑いが少ない
  • デメリット…休みが集中している場合がある

注意点は、調剤薬局は近隣のクリニックに休みを合わせるため、特定の曜日に休みが集中してしまう可能性があることです。近くの薬局が勤務希望日に休みの場合は、少し距離の離れたエリアなどで薬局を探しましょう。

2-2.病院薬剤師

病院薬剤師は、病院で調剤や服薬指導を行う薬剤師です。副業として病院で働くためには、基本的に平日勤務できる方でなければなりません。そのため、ドラッグストアなど平日に休める可能性の高い仕事を本業として持つ方におすすめです。

  • メリット…病院薬剤師としての経験が積める
  • デメリット…求人の母数が少ない

病院は曜日ごとに忙しさが異なり、忙しい曜日の勤務を希望する人材が喜ばれます。副業として病院で働くことは、病院薬剤師としての経験を積みたい方に最適です。

ただし、ドラッグストアや薬局と比べて求人募集の母数が少ないため、病院薬剤師を希望する方は、こまめに求人情報をチェックしましょう。薬局と同じく、人手不足ゆえの高時給が期待できます。

2-3.ドラッグストア

ドラッグストアで働く薬剤師は、調剤は行わず、主に市販薬の販売・服薬指導を行うことが仕事です。市販薬に関する幅広い知識と、販売スタッフとしての接客スキルを磨くことができます。

  • メリット…働く時間や曜日の融通がききやすい
  • デメリット…シフト制で休みが不定休になりやすい

夜遅い時間帯まで営業している店舗が多く、本業の後に数時間程度のみ勤務することも可能です。ドラッグストアは土日や祝日も営業しており、シフト制で時間や曜日の融通がききやすい反面、不定休になりやすいためスケジュール調整には注意しましょう。

2-4.翻訳業務

外国語で書かれた医薬品関係の書類を翻訳する業務は、外国語が得意な薬剤師にとっておすすめの副業です。自宅で作業できるため営業時間や、出勤する曜日を気にかける必要がありません。

  • メリット…自分のペースで仕事ができる
  • デメリット…医療関係に絞ると依頼案件が少ない

医療関係の翻訳案件に取り組むと高い報酬を期待できますが、案件数が少ないため、複数の募集サイトを併用するなど仕事探しに工夫が求められます。

2-5.メディカルライター

医学や薬学に関連する記事を執筆するメディカルライターは、薬剤師の知識・経験を生かして取り組める副業です。薬剤師の資格を活用することで、一般的なライターよりも高単価な案件に取り組めます。

  • メリット…薬剤師の知識・資格を生かせる
  • デメリット…案件によって報酬が異なる

注意点は案件ごとに報酬などの条件に差があることです。条件のよい案件を慎重に選びましょう。翻訳業務と同様に在宅ワークの場合が多く、好きな時間帯・曜日で働けるため、本業がドラッグストア勤務など不規則な勤務時間の人も始めやすい副業です。

2-6.医療系の講師

医療系の講師は、医療系専門学校や予備校などで講義を行います。専門知識や実務経験を生かして働けるため、やりがいを感じながら働ける仕事です。

  • メリット…時給が高い
  • デメリット…調剤薬局薬剤師や病院薬剤師と比べると案件数が少ない

医療系の講師は学生に分かりやすく講義を行う必要があり、コミュニケーション力が求められます。また、講義を円滑に進めるためには、事前準備も必要です。

人に教えることが得意な人や、知識を生かせる副業を選びたい人は、医療系講師の求人もチェックしてみましょう。

2-7.ブログ・サイト運営

ブログ・サイトの運営は、作成した記事がユーザーに読まれることで広告収入を得る仕事です。薬剤師免許という国家資格は、医療記事の専門性や信頼度を高めやすいという特徴があります。ただし、ブログやサイトの運営が軌道に乗るまでには時間がかかります。

  • メリット…低リスクで始めやすい
  • デメリット…収入が安定しない場合がある

ブログ・サイト運営は、在宅ワークで行えます。ブログ・サイトの運営で成功するには、コツコツ続けることが大切です。Webマーケティング力やライティング力も身に付くため、薬剤師としての仕事に応用することもできます。

2-8.治験

治験とは、治験薬の効果を検証するために行われる臨床試験を意味します。治験には、通院タイプと入院タイプがあり、入院タイプのほうが報酬は高額に設定されていることが特徴です。

  • メリット…薬や治療の知識を得られる
  • デメリット…生活が制限される

治験に参加できるのは、募集条件に該当し、健康状態に問題がない人に限られます。通院タイプの治験における拘束時間は、「毎日通院が必要」「在宅可」「1日数時間のみ」など、参加する内容によって異なります。

治験に応募するには、治験モニターの募集サイトに登録が必要です。ただし、単発の仕事であるため、コンスタントに収入を得ることは難しいと言えます。

3.薬剤師が副業をするメリット

薬剤師が副業をする場合、さまざまなメリットがあります。薬剤師として働きながら副業を始めたいと考えている人は、今後の働き方や将来のキャリア形成のイメージを膨らませるためにも、メリットをチェックしておきましょう。

ここでは、薬剤師が副業をするメリットを4つ解説します。

3-1.年収を増やせる

薬剤師が副業をするメリットの1つが、年収を増やせることです。給料を得る場所を複数持つと、コンスタントに収入を増やすことができます。

また、薬剤師の副業は高収入・高単価である場合が多く、隙間時間を有効活用して効率よく収入を増やせます。年収アップのために転職をする方法もありますが、自分で理想の職場を探すのはかなり根気のいる作業です。一方、副業であれば、現在の仕事を続けながら収入アップが見込めるため安心です。

3-2.スキルアップにつながる

薬剤師が副業をすると、本業では得られない経験を積むことができます。同じ薬剤師の仕事でも、医師の志向や近くにある病院の傾向によって取り扱う医薬品の種類には差があります。副業を通じてさまざまな業務にあたると、自分に不足している知識や経験を身に付けることが可能です。

副業で身に付けた知識や経験は、本業はもちろん独立時にも役立ちます。効率よくスキルアップを目指すには、複数の職場で業務経験を積むこともおすすめです。

3-3.人脈が広くなる

複数の職場で働くと、人と関わる機会が増えて人脈が広がります。人間関係を広げたりさまざまな業種の人と関わりを持ったりできることは、副業の大きなメリットです。

人脈を広げると、情報収集や新しい挑戦がしやすくなります。さまざまな人の考え方や働き方に触れられるため、自身のキャリア形成に役立つヒントが見つかることもあるでしょう。

3-4.本業のモチベーションアップにつながる

毎日同じ業務内容の繰り返しだと、本業へのモチベーションが下がってしまう人も少なくありません。副業は、マンネリ化した生活に変化をもたらす効果が期待できます。

本業とは異なる職場や職種で働くと、現在の職場の課題点や自身に不足しているスキルが明確になるという効果もあります。本業や生活のモチベーションを上げたい人は、副業にチャレンジすることも1つの方法です。

4.薬剤師が副業するデメリット

薬剤師の副業には、年収アップやスキルアップなどのメリットがある一方で、起こり得るデメリットもいくつかあります。副業を開始してからデメリットに悩むことがないように、どのようなデメリットがあるのかイメージしておきましょう。

ここからは、薬剤師が副業をするデメリットと副業で失敗しないためのコツを解説します。

4-1.長時間労働になりやすい

副業は、本業以外の時間を使って仕事を行うことになります。本業が休みの日や本業が終わってからも働くとなれば、長時間労働により心身の疲労が蓄積しやすくなります。体力や気力に自信がある人でも、長時間労働が続けばストレスが溜まったり疲労による体調不良を引き起こしたりしやすくなるため、注意が必要です。

副業により心身のバランスが崩れると、本業に支障をきたしてしまうこともあります。薬剤師の調剤業務や服薬指導は、患者さんの健康に関わる仕事であることを忘れずに、自己管理をしっかり行いましょう。

4-2.情報漏洩に気を付ける必要がある

情報漏洩は、副業で複数の職場で働くリスクの1つであり、情報漏洩を防ぐために副業を禁止している企業も少なくありません。副業先で何気なく話した内容が情報漏洩につながる場合もあるため、情報の取り扱いには十分注意しましょう。

本業または副業に関する機密情報や今後の計画が外部に漏れると、大きな損害につながる可能性があります。場合によっては、情報漏洩が原因で懲戒処分となることもあります。副業を始める場合は、機密情報の取り扱いについて確認しておきましょう。

情報漏洩を防ぐには、頭や気持ちをしっかりと切り替え、業務にあたることが大切です。

5.薬剤師が副業をする場合の3つの注意点

公務員薬剤師や管理薬剤師ではない方は、法律的に副業は可能ですが、注意点がまったくないわけではありません。薬剤師が副業を始める上で、最低限注意すべき点は3つあります。

ここでは、薬剤師が副業を検討する上で、注意すべき2つのポイントについて紹介します。

5-1.①勤務先の就業規則を確認する必要がある

勤務先によっては、就業規則で副業を禁止している場合があります。法的に禁じられていなくとも、就業規則を破ると会社から何らかの処分を受けたり、評価が著しく下がったりする可能性があるため注意してください。

【勤務先とのトラブルを未然に防ぐためのポイント】

  • 就業規則を隅々までチェックする
  • 上司や経営者に、副業について確認する

従業員数が少ない勤務先の場合は、就業規則が明確に定められていないところがあります。上司や経営者などに必ず確認して、トラブルを回避しましょう。

また、会社に隠れて働くことができたとしても、年末調整や確定申告などで副業が発覚する可能性があります。トラブルとならないように、自分の勤務先では、副業が認められているか否かについて、事前に確認することが大切です。

5-2.②扶養の基準額を超える可能性がある

結婚後、薬剤師として働いている人の中には、扶養控除の範囲内に収まることを意識している人が多くいます。扶養控除の範囲内に収めて働く場合、薬剤師は通常の副業と比べて高時給を得られるため、こまめな確認とシフト調整が必要です。

【扶養控除の基準】

  • 年収103万円以下…夫婦両方の所得が控除される
  • 年収150万円以下…夫の所得のみ控除される
  • 年収201万円以上…扶養控除の対象から外れる

上記の金額を目安にして、収入額に注意してください。また、年収を130万円以上得ると、配偶者が勤務する企業の社会保険から除外されるため、保険料の支払いが必要となります。

5-3.③確定申告が必要な場合がある

確定申告が必要な場合があることも、薬剤師の副業における注意点の1つです。本業の会社で年末調整をしている場合でも、薬剤師としての給与以外の所得が20万円以上ある人は確定申告が必要となります。

出典:国税庁「副収入などがある方の確定申告」

確定申告が必要な人は、年間所得額と税金の計算を行い、所得税を納めなければなりません。確定申告書は、国税庁のホームページ内にある「確定申告書等作成コーナー」から作成できます。

申告書の作成で記入が必要な内容は、下記の通りです。

  • 住所氏名
  • 収入金額
  • 所得金額
  • 所得から差し引かれる金額など

確定申告の手続きは、下記の流れで行います。

手順 必要なもの
(1)申告書を作成する
  • ・源泉徴収票
  • ・売上や経費の内訳を確認できる書類
  • ・控除の証明書
(2)確定申告をする
  • ・確定申告書AまたはBの作成
  • ・必要書類(マイナンバーカードの写し、青色申告決算書・収支内訳書など)の添付
(3)納税する

出典:国税庁「確定申告の際にご持参いただくもの」

出典:国税庁「申告手続の流れ」

確定申告の期限は、2月16日~3月15日となっています。期限内に確定申告ができないと、延滞税が発生するため注意が必要です。一定の副業収入を得ている人は、期日直前に慌てることがないように、必要な書類は事前に準備しておきましょう。

申告書の送付方法と納税方法は、下記の通りです。

申告方法 納税方法
  • ・郵便または信書便による送付
  • ・所轄税務署へ持参
  • ・e-Taxで申告
  • ・振替納税
  • ・現金納付
  • ・e-Taxで電子納税
  • ・クレジットカード納付
  • ・コンビニ納付

出典:国税庁「令和3年分 確定申告特集」

e-Taxを利用すると、申告書の作成から納税までを自分のパソコンやスマートフォンで行うことができます。

6.副業を探すなら「薬剤師転職支援サイト」を活用しよう!

効率よく副業を探すためには、「薬剤師転職支援サイト」を活用することをおすすめします。薬剤師の転職に特化した支援サイトを利用すると、以下のメリットが得られるためです。

  • 副業を前提とした求人を見つけやすい
  • 地域や最寄り駅など条件ごとに求人を探せる
  • 担当のキャリアアドバイザー・コンサルタントに相談できる

薬剤師転職支援サイトでは、副業に関する求人が多数掲載されているため、地域や鉄道路線などエリアを絞った仕事探しが可能です。さらに、時給や福利厚生など待遇面で比較することもできます。

また、担当のキャリアアドバイザーに相談できるサイトが多く、希望する勤務地や条件で見つからない場合は、仕事探しについてサポートを受けることが可能です。

近年は「女性が働きやすい」「Iターン・Uターン」など特集ページを用意している薬剤師転職支援サイトが多いため、一度利用を検討してはいかがでしょうか。

まとめ

公務員薬剤師や管理薬剤師などの条件に当てはまらない限り、ほとんどのケースで薬剤師は副業ができます。ただし、就業規則などで副業を制限している職場があるため、事前に副業OKか否かを確認しておきましょう。薬剤師の資格や知識・経験を生かして働ける副業にはさまざまな種類があるため、自分のキャリアプランやライフスタイルに合わせて、最適な仕事を選びましょう。

薬剤師転職支援サイトを活用すると、病院・薬局・ドラッグストアから製薬会社までさまざまな求人を探すことができます。薬剤師として副業を探している方は、さまざまな求人から理想の職場を探せる薬剤師転職支援サイトの利用を検討しましょう。

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