薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN

2023/03/08

薬剤師はMRに転職できる?MRの仕事内容や転職方法を解説

MRは、医薬品メーカーに勤務し、医療従事者に向けて自社の医薬品の情報を提供する職業を指します。医薬品の情報を提供するだけではなく、実際に使われた医薬品の有効性や安全性などの情報をヒアリングするのもMRの大切な仕事です。

当記事では、薬剤師からMRへの転職を考えている方へ向けて、MRの仕事内容や、MRになるために必要な資格・スキルを詳しく解説します。MRの魅力や転職するメリットなどをふまえた上で、薬剤師からの転職を検討してみてください。

1.MRはどのような仕事?

MR(Medical Representatives)とは、「医療情報担当者」を意味する用語です。MRは製薬会社に勤務し、自社の医薬品の営業を行いながら、医療従事者に医薬品の情報を提供する職業を指します。MRの仕事は多岐にわたりますが、主な仕事内容として下記の3点が挙げられます。

◆MRの主な仕事内容

(1)情報の提供

病院やクリニック、調剤薬局などを訪問し、医師や薬剤師などの医療従事者に対して自社の医薬品の概要や特徴、有効性、副作用などの情報を提供します。自社の医薬品を適正かつ適切に使ってもらうために、パンフレットや論文などの資料を用いて正確に説明することが一般的です。医薬品に関する医療機関からの問い合わせにも対応します。

(2)情報の収集

医療機関や薬局などを訪問した際に、医師や薬剤師から自社製品の有効性や品質、安全性といった情報を集めることもMRの仕事の1つです。医薬品に関する医療従事者からの要望やアイデアを拾い上げて集約し、自社の製品開発につなげることも重要なタスクと言えるでしょう。

(3)情報の伝達

収集した医薬品に関する情報について分析・評価し、その結果を医療従事者に伝えることもMRの大切な役割です。医学や薬学に関する講演会の開催や、医療従事者同士の情報ネットワーク構築をサポートすることもあります。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「医薬情報担当者(MR)」

上記のように、MRの主な仕事は「医薬品に関する情報の提供・収集」であり、営業職ではあるものの、医薬品の販売を直接行うわけではありません。一方、MRとよく似ているMS(Marketing Specialist)は医薬品や医療機器などを医療機関に提供する職業です。MRとMSでは仕事の内容や目的に違いがあることに留意しましょう。

なお、MRの仕事については下記の記事でも詳しく解説しています。MRについての理解を深めたい方は、ぜひご参考ください。

MRとは?仕事内容から平均年収・就職に有利な資格までを紹介!

2.薬剤師がMRに転職するメリット

医薬品の適正使用と普及を図る職業であるMRに対し、薬剤師は医薬品を調剤し、患者・消費者に適切に届けるという役割を果たします。それぞれの職業で仕事の内容や目的は異なりますが、医薬品という共通点があることから、薬剤師からMRに転職する方も珍しくありません。

ここでは、薬剤師がMRに転職するメリットを4つ紹介します。メリットをふまえた上で、MRへの転職を具体的に検討してみましょう。

2-1.薬剤師の知識をいかせる

薬剤師の資格は、MRになるために必須というわけではありません。しかし、MRとして働くためには、担当する医薬品の特徴や有効性・安全性、その根拠となる医学的・薬学的知識を身につけておく必要があります。薬剤師は薬学の専門知識を有しているため、担当する医薬品への理解も早く、有利に仕事を進めることができるでしょう。

また、MRは自社の医薬品に関する情報を、医療現場の医師や薬剤師に分かりやすく伝える必要があります。医療関係者や患者・消費者に対して医薬品に関する説明を日常的に行う薬剤師の経験は、MRの仕事に役立つでしょう。

2-2.キャリアプランが広がる

薬剤師からMRへ転職することで、薬剤師としてのキャリアプランだけでなく、MRとしてのキャリアプランも開拓できるようになります。

◆MRの主なキャリアパス

・MR職としてのキャリアを積む

MRとしてステップアップすることを目指すキャリアプランです。自社の医薬品を幅広く担当する「ゼネラリストMR」、1つの領域・製品をとことん究める「スペシャリストMR」など、キャリアアップの方向性を定めた上で経験を積みましょう。

・社内の別部門へ異動する

製薬企業には、営業部のほかにも研究開発部やマーケティング部、人事部などさまざまな部門があります。MRの仕事を通して別の部門に興味を持った際には、職場の中で異動し、キャリアチェンジするのも1つの方法です。

・医療分野の知識・経験を別の職種にいかす

MRの知識や経験は、医療機器メーカーでの営業や医療系広告代理店でのマーケティング・企画などさまざまな職種でいかせます。また、医薬品開発業務受託機関(CRO)での臨床開発モニターや、治験施設支援機関(SMO)での治験コーディネーターなどの職種でもMRの経験が大いに役立つでしょう。

2-3.多くの人と関われる

MRは、医薬品の情報提供・情報収集を行うためにさまざまな職種の方と関わります。医師・看護師、薬剤師をはじめとした医療従事者や大学教授などと関わりながら仕事をするため、さまざまな学びを得ながら自分自身を成長させられるでしょう。

また、1人のMRが担当する病院・クリニックや薬局は複数あるため、その分多くの人と人間関係を構築できる点も魅力的です。他者と関わることが好きな方に向いている職業と言えるでしょう。

2-4.大手企業で働ける

日本国内で医薬品を製造・販売している製薬会社には、大手企業と呼ばれる企業が多数存在します。大手製薬会社は給与や福利厚生といった面での待遇がよく、研修や勉強会などのスキルアップの機会も多く提供されている傾向にあります。国内大手製薬企業に勤務できれば、専門性を高めながら安定した経済基盤・生活基盤を整えられるでしょう。

また、日本の医薬品業界には外資系製薬会社も多く参入しています。外資系企業は成果主義の傾向が強く、仕事の実績が待遇アップにつながりやすいため、収入アップ・キャリアアップを目指したい方にもおすすめの勤務先です。

3.薬剤師がMRに転職するには?

薬剤師として働くためには、薬剤師国家試験に合格し、国家資格である薬剤師免許を取得しなければなりません。しかし、MRは特別な資格を取得しなくてもMRとして働くことが可能です。ただし、MRとして働く上で身につけておいたほうがよいスキルや、企業側から取得を求められる資格もあることに留意しましょう。

ここでは、薬剤師からMRへの転職活動を行う際に必要となる可能性が高い資格・スキルについて解説します。自分の適性を考慮した上で、資格取得やスキルアップを図りましょう。

3-1.薬剤師がMRになるために必要な資格

MRは、薬剤師資格のような特別な資格を取得しなくても業務にあたることが可能です。しかし、MR認定試験に合格し、MR認定証を取得していると、MRとして適切な知識があるとアピールできます。薬剤師からMRへの転職を目指す方はMR認定試験の受験を検討してみましょう。

MR認定試験は、公益財団法人MR認定センターによるMR導入教育を修了した後に受験できます。試験科目は「医薬品情報」「疾病と治療」「MR総論」の3科目ですが、薬剤師免許の取得者は「医薬品情報」「疾病と治療」の2科目の受験が免除されます。

出典:MR認定センター「MR認定制度の紹介」

出典:MR認定センター「第29回 MR認定試験要項」

3-2.薬剤師がMRになるために必要なスキル

薬剤師は薬学の専門家であるため、MRに求められる医薬品の知識はすでに習得している場合が多いです。しかし、MRとして活躍するためには、医薬品に関する知識に加えて下記のようなスキルも必要です。知識とともにスキルも磨き、MRとしてのキャリアアップを図りましょう。

・コミュニケーション能力

営業先の医師や薬剤師と良好な信頼関係を築くには、自社医薬品に関して論理的かつ分かりやすく説明できるコミュニケーションスキルが必要です。顧客となる医師・薬剤師のニーズを的確につかみ、適切な対応をとることも求められるでしょう。

・学習意欲

医薬品は日々進歩しており、新薬も次々に開発されています。また、既存の医薬品でも使用法や安全性・副作用に関する情報が変更されることも珍しくありません。医薬品情報の提供・収集を主な業務とするMRは、最新の医薬品知識を常に学び続ける姿勢・意欲が求められます。

まとめ

MRは薬剤師としての経験がいかせるほか、MR職としてのキャリアアップや別部署へのキャリチェンジなどのキャリアプランも開拓できます。また、大手製薬会社へ転職すると収入アップも期待できるでしょう。

現在薬剤師として働いている場合、MRになるために特別な資格は必要ないものの、MR認定試験資格を保有していると転職の際に有利に働くでしょう。また、取引先との関係を継続させるためのコミュニケーション能力もあわせて磨いておくことをおすすめします。

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