薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN

2021/02/22

【薬剤師】技術・能力の証明やキャリアアップを目指せる資格一覧

薬剤師としてキャリアアップを目指す人は、新たに資格を取得する方法も視野に入れてはいかがでしょうか。薬剤師の資格を有する人のみが取得できる資格もあるため、業界でより多くのやりがいを感じられるでしょう。

処方箋に基づいて医薬品を提供したり、品質管理したりするだけではなく、資格次第でより積極的に患者の治療や薬学の研究に参加することもできます。

当記事では、薬剤師の技術・能力を証明できる資格・キャリアアップを目指せる資格・認定薬剤師・専門薬剤師と併せて取得したい資格について解説します。資格を取得するメリットややりがい、活躍できる場所などを紹介するため、ぜひ参考にしてください。

1.薬剤師の技術・能力を証明できる資格

薬剤師としての技術・能力を証明するためには、認定薬剤師の取得を目指すことがおすすめです。認定薬剤師は所定の単位取得と認定期間によって、最新の知識や技術を有している人物であると証明されています。

認定を維持するために高い能力が求められることから、医師・看護師からの信頼も厚く、年収アップやキャリアアップを期待できます。研修によっては専門分野を学びつつ、人脈を広げるきっかけも得られるでしょう。

ここでは、薬剤師の技術・能力を証明できる資格を10選紹介します。

1-1.外来がん治療認定薬剤師

安全に外来がん治療を行うための知識や技術を有することを証明する資格が、外来がん治療認定薬剤師(JASPO)です。

業務上、医師・病院薬剤師・薬局薬剤師と連携を取る必要があるため、ときにはアドバイスを求められるなど専門家としてのやりがいが実感できます。

外来がん治療認定薬剤師の認定期間は3年で、地域がん治療において患者や家族をトータルサポートする役割も担うため、医療機関だけではなく薬局でも活躍することができます。

1-2.感染制御認定薬剤師

医療現場における感染発生の早期発見や適切な感染制御、薬物療法の知識と技術を証明できる資格が、感染制御認定薬剤師です。認定期間は5年で、「感染制御専門薬剤師」へのキャリアアップも目指せます。

感染者の治療だけではなく、感染予防策を講じたりマニュアルを作成したりと、多岐にわたる業務は大きなやりがいを感じられます。

活躍できる場所は主に病院や施設ですが、調剤薬局で薬剤師相手に感染予防方法をレクチャーすることもあります。

1-3.がん薬物療法認定薬剤師

がん薬物療法認定薬剤師は、がん患者に対して薬物療法などの知識や技術を活用し、質の高い薬剤業務を行います。がん薬物療法認定薬剤師の認定期間は5年で、将来的に「がん専門薬剤師」へのキャリアアップを目指せることがメリットです。

がん薬物療法認定薬剤師の認定を受けるためには、がん患者に対する薬剤管理指導の実績が50症例を超えていることなど、専門的な業務経験や知識が求められます。

がん薬物療法認定薬剤師が活躍できる場所は複数あり、がん治療を行っている病院の他、がん研究センターや訪問看護が挙げられます。

1-4.救急認定薬剤師

救急認定薬剤師は、救急医療における薬物療法に関して高い技術力と専門知識、倫理観を有することを証明する資格です。

救急認定薬剤師の認定期間は5年で、救急や災害現場にて深い知識や積極性、的確な判断が求められるため、即戦力としての経験を積める点が大きなメリットです。

救急認定薬剤師の主な活躍場は、集中治療室や救命救急センターで、薬物の管理・監査・モニタリングといった基本業務の他、教育カリキュラム作成を担当することもあります。

1-5.研修認定薬剤師

研修認定薬剤師は、研修などを通し、薬剤師として資質の維持に努めていることを証明できる資格です。認定期間は3年で、学会所属を求めないなど条件が比較的厳しくないため、多くの薬剤師が取得しています。

基礎薬学・医療薬学・衛生薬学を始めとした薬学関連の知識に留まらず、薬事関連法規や制度、倫理など幅広い知識が求められます。

研修認定薬剤師はかかりつけ薬剤師の算定要件に含まれており、職場では患者一人ひとりに寄り添ったサポートを行うことができます。

1-6.抗菌化学療法認定薬剤師

抗菌化学療法に関する深い知識を持ち、患者の体質・病態や感染症の種類に応じて有効な薬物療法を安全に行えることを証明する資格が、抗菌化学療法認定薬剤師です。

薬物血中濃度モニタリングデータをもとに、抗菌薬投与設計に関して他の医療従事者へアドバイスを行うなど、専門家としての知識を活かしたサポートにやりがいを感じます。

抗菌化学療法認定薬剤師の認定期間は5年で、今後は在宅医療や研究職での活躍も期待されます。

1-7.小児薬物療法認定薬剤師

小児薬物療法に関して、一定レベル以上の能力はもちろん適正も認められた人のみが取得できる資格が、小児薬物療法認定薬剤師です。小児特有の疾患への対処法や、大人とは異なる医薬品の服用方法・副作用リスクなどを理解したうえで看護師など医療チームへのアドバイスを行います。

小児薬物療法認定薬剤師は、服薬指導の他、小児の心理面や保護者へのケアも求められるため、親子ともに信頼されることにやりがいを感じられます。

小児薬物療法認定薬剤師の認定期間は3年で、小児に関わるさまざまな医療機関・調剤薬局で需要があります。

1-8.精神科薬物療法認定薬剤師

精神科薬物療法認定薬剤師は、精神疾患の治療に関して有効かつ安全な薬物療法を行える、高度な知識と技術を持つ人のための資格です。認定期間は5年で、取得のためには精神科薬物療法に5年以上の直接従事した実績が求められます。

近年は通院には至らなくともメンタルヘルスの不調に悩む人も多く、身近な薬局で相談できる薬剤師として、周囲から頼られることにやりがいを感じられます。

精神科を有する病院の他、心療内科クリニックの患者が多く訪れる調剤薬局でも活躍できます。

1-9.日病薬病院薬学認定薬剤師

薬学生の長期実務実習を監督・指導する人材としての資質が認められると、日病薬病院薬学認定薬剤師の資格が取得できます。日病薬病院薬学認定薬剤師は、病院・薬局にて行われる薬学生の長期実務実習を指導し、現場で求められる倫理感・問題解決能力を育むことが主な役割です。

5年前後の認定期間が設けられている資格が多い中、日病薬病院薬学認定薬剤師は6年間有効です。

日病薬病院薬学認定薬剤師を取得するためには、日本医療薬学会認定薬剤師など特定の資格を有していることが条件となっているため、キャリアアップも期待できます。

1-10.日本医療薬学会認定薬剤師

医療薬学の分野において、実務経験に基づいた高度な知識・技能を有していることに加え、学術・研究の実績も求められる資格が、日本医療薬学会認定薬剤師です。業務内容は通常の薬剤師と同じですが、より高度な判断力や根拠に基づいた対処が求められます。

日本医療薬学会認定薬剤師は、日病薬認定指導薬剤師を取得する条件として指定されている資格のひとつで、将来的に指導者の道を目指したい人におすすめです。

2.薬剤師がキャリアアップを目指せる資格

薬剤師がキャリアアップを目指すなら、専門薬剤師を取得する選択肢もあります。専門薬剤師は特定の専門分野で高度な知識・技術を有することを証明できるため、医療チームの一員として活躍したい人や、エキスパートとして頼られたい人におすすめです。

薬剤師の業界においても専門的な知識・技術の需要は高く、高収入を期待できます。また、将来的に管理職や指導者へのステップアップとなる点も、専門薬剤師を取得するメリットです。

ここでは、薬剤師がキャリアアップを目指せる資格を10選紹介します。

2-1.医薬品情報専門薬剤師

医薬品情報専門薬剤師は、医薬品情報に関する専門的な知識・技術・倫理観はもちろん、一定の経験も積んでいることを証明する資格です。

医薬品情報専門薬剤師の主な業務は、医薬品情報の検索や調査を行い、根拠に基づいた評価で目的に応じた加工を行うことです。また、情報に関わる教育を任されることもあります。

情報管理能力を有する人材の需要は高く、医療機関や教育機関の他、一般企業で商品開発に関わる活躍も期待されます。

医薬品情報専門薬剤師の認定期間は5年で、近年は医薬品情報管理室(DI室)の設置など、より良い環境が整えられている職場も少なくありません。

2-2.HIV感染症専門薬剤師

HIV感染症治療の現場において、豊富な知識と高い技術に基づいた薬物療法を安全・有効に提供できると証明する資格です。既に「HIV感染症薬物療法認定薬剤師」の資格を有している人は、ステップアップとしてHIV感染症専門薬剤師を目指すことをおすすめします。

HIV感染症専門薬剤師の認定期間は5年で、主な仕事はHIV感染症治療に関する薬剤や疫学、社会問題などの最新情報を医療チームや患者に提供することです。

資格取得者数は少ないものの、活躍の場は病院・薬局の他、学校とさまざまで、自分に合った働き方を選べます。

2-3.栄養サポートチーム(NST)専門療法士

栄養状態の良くない患者のサポートを行うために、さまざまな職種の医療スタッフで構成される栄養サポートチーム(NST)の一角を担う専門家です。薬剤師の他に、看護師や管理栄養士がキャリアアップの一環として資格取得を目指すケースが一般的です。

栄養サポートチーム(NST)専門療法士の認定期間は5年で、患者一人ひとりに合わせた栄養管理計画を作成し、チームの中心人物として情報共有を行うことが主な仕事です。

NSTを設置する医療機関は多く、高い専門知識を有する栄養サポートチーム(NST)専門療法士の需要は今後も高くなるでしょう。

2-4.がん指導薬剤師

がん指導薬剤師は、がん専門薬剤師の指導を担う人のための資格です。がん指導薬剤師は医療施設が「がん専門薬剤師研修施設」として認められるために必要な人材でもあることから、研究者として活躍することもできます。

がん指導薬剤師の認定期間は5年で、基本的な仕事内容はがん専門薬剤師の養成に関わる他、最新の抗がん剤による治療計画の設計や副作用管理も行います。

がん指導薬剤師は、診療報酬における「がん患者管理指導料」の算定要件を満たしており、がん治療の専門家として今後は更に需要が高くなるでしょう。

2-5.感染制御専門薬剤師

感染制御専門薬剤師は、感染制御と対策、治療において高度な専門知識と技術を有することを証明する資格です。院内感染の予防および治療をサポートする専門家として、衛生管理や消毒の徹底、対策チームで協議する内容やガイドライン・マニュアルの作成を行います。

感染制御専門薬剤師の認定期間は5年で、「感染制御認定薬剤師」または「インフェクションコントロールドクター(ICD)」へのステップアップとしてもおすすめです。

2-6.腎臓病薬物療法専門薬剤師

腎臓病薬物療法専門薬剤師は、腎臓病患者への薬物療法における高い技術や深い知識を有し、専門家として研究や指導にも携わることのできる資格です。

腎臓病薬物療法専門薬剤師の認定期間は5年で、主な仕事として患者一人ひとりの腎機能障害の度合いに合わせ、適切な医薬品を用法・用量とともに処方提案します。

また、腎臓病薬物療法の専門家として医師や看護師に研修を行うこともあり、チーム医療に貢献できた実感を得られます。

2-7.精神科専門薬剤師

精神科専門薬剤師は、精神疾患の治療において安全かつ有効な薬物療法を提供するための高度な知識・技術が求められる資格です。認定期間は5年で「精神科薬物療法認定薬剤師」が取得条件に含まれているため、資格取得によって更なるキャリアアップを目指すことができます。

患者へ薬物療法の提案やアドバイスを行う他、製薬会社や研究機関で専門知識が求められることもあります。

2-8.妊婦・授乳婦専門薬剤師

妊婦・授乳婦専門薬剤師は、妊婦・授乳婦に対する適切な薬物療法を提供できる知識や技術を有し、母体や胎児・乳児へ配慮した治療提案を行える専門家です。妊婦・授乳婦専門薬剤師は、「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師」の資格を取得していることが認定条件に含まれるため、専門性を高めたい人に向いています。

妊婦・授乳婦専門薬剤師の認定期間は5年で、妊産婦が多く通院する病院や周辺の調剤薬局を中心に高い需要が見込める資格です。

他にも、子育てをサポートする民間団体や保健所など、妊婦・授乳婦に関わることの多い現場で活躍できます。

2-9.認定女性ヘルスケア専門薬剤師

認定女性ヘルスケア専門薬剤師は、女性特有の疾患に関する知識を持ち、生理機能や精神状態など変化しやすい女性の体に適切なケアを施すための資格です。

思春期から老齢期まで、幅広い年齢層の女性の健康管理が主な仕事です。そのため、仕事としてはもちろん、友人や家族など周囲の女性をサポートする力も身に付きます。

認定女性ヘルスケア専門薬剤師の認定期間は5年で、専門的な知識・技術は医療機関や調剤薬局の他、民間団体や企業で講師として活躍することもできます。

2-10.薬物療法専門薬剤師

薬物療法専門薬剤師は、幅広い領域に至る薬物療法において、専門的かつ高度な知識・技術を有する人材であることを証明する資格です。医師や看護師と連携して、相互作用や副作用を考慮した安全かつ有効な薬物療法を提供します。

薬物療法専門薬剤師は、医療チームの中心となって専門的な提案を行ったり、患者に服薬指導やQOL(生活の質)向上のためのアドバイスを行ったりと、多くの人から頼られる存在です。

薬物療法専門薬剤師の認定期間は5年で、指導者の立場を目指すことができます。

3.認定薬剤師・専門薬剤師と併せて取得したい資格一覧

幅広い分野で活躍したい人や、医療機関以外でも活躍したい人は、これまでに紹介した資格と併せて他の資格を取得することがおすすめです。特定の業務や分野において専門性を高められたり、高収入を得られたりする他、活躍できる場所を更に広げることができます。

最後は、認定薬剤師・専門薬剤師と併せて取得したい資格を5選紹介します。

3-1.医療情報技師

さまざまな業界でデジタルツールの導入が進む中、医療業界に特化した知識と技術を持つことを証明する資格が医療情報技師です。病院・施設内の医療情報システムに関する業務全般(設計・管理・運用)に役立ちます。

医療情報技師の認定期間は5年で、試験では情報処理技術・医学情報システム・医学医療の3分野における知識と情報処理能力が試されます。

病院はもちろん、近年は電子薬歴システムを運用している調剤薬局も多く、調剤業務などを行いつつ新しい業務にも挑戦したい人におすすめです。

3-2.NR・サプリメントアドバイザー

NR・サプリメントアドバイザーは、保健機能食品やサプリメントに関する知識を有し、消費者に正しいアドバイスができることを求められる資格です。

NR・サプリメントアドバイザーの認定期間は5年で、医療機関や調剤薬局の他、ドラッグストアや企業の相談窓口など活躍できる場はさまざまです。サプリメント選びについてアドバイスを求められることも多く、消費者の反応にやりがいを感じることができます。

認定試験の合格は、収入アップに直接影響するものではありません。しかし、セルフメディケーションが重視される現代において、消費者のニーズに寄り添える資格として今後更なる需要が見込まれます。

3-3.治験コーディネーター(CRC)

円滑に治験が実施されるよう、さまざまなサポートを行うための資格が、治験コーディネーター(CRC)です。専任CRCとしての実績が2年以上あることが求められるため、業務経験者のキャリアアップに向いています。

治験コーディネーター(CRC)は、法的規制や治験特有のシステムを深く理解し、被験者のケアおよび現場の調整役を担います。

治験コーディネーター(CRC)の認定期間は5年で、活躍できる場所は主に医療機関や製薬会社です。

3-4.公害防止管理者

「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(法律第107号)」に基づき、設置を義務付けられた職種のひとつが、公害防止管理者です。厚生労働省が認定する国家資格であり、更新制度がないため一度取得すると永年有効となります。

公害防止管理者は、製造業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業における特定工場で、公害防止施設の運用に関する業務全般(運転・維持・管理など)が主な仕事です。必要に応じて経営者や安全管理者、衛生管理者に予防策のアドバイスも行います。

3-5.食品衛生管理者

食品衛生管理者も、前述した公害防止管理者と同じく国家資格のひとつです。公害防止管理者と同様で、食品衛生管理者に更新制度はありません。

食品衛生法施行令によって定められたものを製造・加工する施設には設置が義務付けられており、専門的な知識に基づいた衛生管理が求められます。そのため、食品衛生管理者は施設内での食中毒・異物混入を予防が主な仕事となります。また、衛生管理のプロとして指導役を担うこともあります。

薬剤師の資格を有する時点で認定条件を満たしているため、都道府県知事へ届け出を行うのみで取得できます。

まとめ

薬剤師が取得できる資格は、現在の仕事内容や転職に役立つ資格から、将来のやりがいにつながるものまで、多種多様です。薬剤師としての能力を証明したい場合は認定薬剤師、キャリアアップを目指す場合は専門薬剤師を取得することをおすすめします。

また、更なるステップアップを望む場合は、認定薬剤師・専門薬剤師と併せて、他の薬剤に関する資格を取得すると良いでしょう。専門的な知識・技術を磨くことで、周囲から一層頼られる人材として多くの場所で活躍できます。

薬剤師の資格には、必要書類の提出と講座受講のみで取得できる資格も存在します。一方で、特定の認定制度に合格していなければならない資格もあるため、事前に合格難易度や専門家のなりかたなどを確認しておきましょう。

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