平成30年の厚生労働省のデータによると、薬剤師の給料は、以下の表の通りとなります。

男性
年齢	38.0歳
月収	41万円
年間賞与額	88万円
年収	580万円

女性
年齢	39.0歳
月収	36万円
年間賞与額	87万円
年収	519万円

男女計
年齢	38.6歳
月収	38万円
年間賞与額	88万円
年収	544万円

出典：厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」

薬剤師の給料相場は、月収は38万円、年収は544万円となっています。
男女間で月収は約5万円、年収だと約60万円もの収入の差があるため、薬剤師を目指す際には注意が必要です。

薬剤師と言っても、医薬品を扱う職業と一括りにされるわけではなく、多様な働き方があります。また、勤める医療関連施設によって給料の額も異なります。

そのため、薬剤師として働きたい場合には、どのような働き方があるのか、そして働き方によってどのような給料の違いがあるのかを知っておくことが重要です。

ここでは、薬剤師の代表的な働き方と、それぞれの給料について解説します。

薬剤師の代表的な働き方には、以下の3つが挙げられます。

◯調剤薬局
薬剤師の半数以上が、調剤薬局で勤務しています。

調剤薬局での主な仕事内容は、医師から発行された処方箋を受け取り、薬を調剤して患者さんへ渡すことです。ほかにも、薬剤師自身が老人ホームや介護施設などへ訪問して、薬の飲み方を指導するといった仕事もあります。

調剤薬局の平均給与は、年収ベースで470万円程度です。

◯ドラッグストア
近年は、調剤施設が併設されているドラッグストアが増えました。このような背景に伴い、ドラッグストアでの薬剤師の需要は高まっています。調剤施設が併設されているドラッグストアでは、市販薬やサプリメントを含めた健康指導を行う必要があるためです。

今後は、政府によって推進されていくセルフメディケーションによって、ドラッグストアは、身近に患者さんと接する職場となっていくでしょう。

ドラッグストアの年収は、多くの企業で600万円程度となっています。

◯病院
病院勤務の薬剤師は、院内薬局で処方箋調剤を渡すことが主な仕事で、基本的に医師や看護師が患者さんとのやり取りを行うため、患者さんとの関わりもあまりありません。

しかし現在では、病院勤務の薬剤師の業務は一転し、直接患者さんの治療に関わる場面が多くなっています。そのため、病院で薬剤師として働く場合は、コミュニケーションも必要となるでしょう。

病院勤務をしている薬剤師の年収は、450万円程度です。

続いては、薬剤師がなれる意外な職業を紹介します。

◯MR
MRとはメディカル・リプレゼンタティブ（Medical Representative）の略で、製薬会社の医薬情報担当者のことです。

主な仕事内容としては、自社の薬の有効性や、安全性を病院で働く医師、薬局で働く薬剤師などにPRすることが挙げられます。

MRは平均給与が高く、650万円程度の収入を得ることが可能です。

◯創薬研究者
創薬研究者は、言葉の通り新しい薬を開発する研究者のことです。創薬研究者の主な勤務先としては大学や製薬会社などが挙げられます。

薬剤師の中でも創薬研究者になることはハードルが高く、狭き門であることから、年収の水準も1000万円程度と非常に高く設定されています。
ただし、薬学部のある大学研究者や製薬会社の研究施設など、就職先によって多少の年収の差があるため、事前に年収についてしっかり調査しておきましょう。

このほか、薬剤師は麻薬取締官や自衛隊薬剤官にもなることが可能です。

ますは、全国の中でもとくに薬剤師の給料が高い都道府県について見ていきましょう。
以下は、薬剤師の給料が高い上位3県の平均年収を表にまとめたものです。

	都道府県	年収
1位	栃木県	約620万円
2位	福島県	約610万円
3位	三重県	約600万円

出典：厚生労働省「厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」

日本の三大都市である東京都・大阪府・愛知県は、全産業の平均では高年収となっています。しかし、上記の表より、都市圏が含まれていないことが分かります。

では、東京都・大阪府・愛知県の薬剤師の給料は、どのようになっているのでしょうか。
次に、日本の三大都市における薬剤師の平均年収を見てみましょう。

都道府県	年収
東京都	約520万円
大阪府	約550万円
愛知県	約540万円

出典：厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」

上記の表を見ると、薬剤師の給料が高い上位3つに比べて、日本の三大都市の平均年収は、100万円程度低くなっています。

多くの職業では、都市部のほうが給与が高く、地方部では安いことが一般的です。しかし、薬剤師では逆の現象が起きています。都市部より地方部のほうが給料が高い理由としては、薬剤師の人手が足りていないためです。

地方部では、薬剤師を雇うために、都市部よりも好待遇を提示している施設が多くあります。そのため、都市部から移住する医療従事者も少なくありません。

単純に給料が高くなるため、地方部で働くほうが良いと思う方もいるでしょう。しかし、人手が足りない地方部で働くということは、その分仕事量が増えるということです。

また、薬剤師の仕事には、専門的な知識が必要とされるため、なかなか助けを得ることができません。さらに、都市部とは異なり、地方部では濃密な人付き合いが多く、患者さん一人ひとりに対する接し方もより深くなります。

都市部で生活していた方であれば、すぐに慣れないこともあります。そのため、地方部で働くことは選択肢の一つとして考えることがおすすめです。

薬剤師は、比較的給料の水準が高く設定されています。しかし、現在の給料に満足していない方もいるでしょう。
ここからは、薬剤師が給料を上げる方法を具体的に解説します。

①昇進する
一般の企業と同様に、薬剤師も昇進すると共に年収も上がります。
薬剤師として年収アップを目指す場合には、管理職になることを目標として仕事のキャリアを積むことが大切です。

②資格を取る
資格を取ることも、給料を上げる方法の一つです。薬剤師免許だけでなく、さまざまな資格を取ることで、スキルアップだけではなく、昇進や年収アップにも繋げることができます。

とくに、認定薬剤師や専門薬剤師の資格は、専門性が高いことを証明できるため、取得しておくと良いでしょう。

③派遣薬剤師として働く
正社員として働くことに拘りがない場合は、派遣薬剤師として働くことをおすすめします。

正社員の場合、主な雇用先は薬局やドラッグストアです。一方、派遣の場合は雇用主が派遣会社となります。派遣会社では、急な欠員を埋めるために派遣されるケースが多く、正社員に比べて高い給与の求人が出されていることも少なくありません。

ただし、正社員に比べて派遣薬剤師は基本業務が多く、キャリアアップやスキルアップを目指すことが難しいというデメリットもあります。また、派遣薬剤師は雇用が不安定であるため、そのようなデメリットもよく考えて判断しましょう。

④転職する
現在勤めている職場よりも、さらに好条件の企業や病院に転職することも、年収を上げる一つの方法として挙げられます。

例えば、現在の職場で自分より高い役職のポストが空いていない場合、自分が望むポストが空いている職場に転職することで、年収を上げることができます。

ほかにも、前述したように、薬剤師の年収が高い地方部に転職することで、年収アップを目指すことも可能です。地方部で就職した場合、年収が上がるだけでなく、過疎地の医療に貢献することもできるため、選択肢の一つとして覚えておくと良いでしょう。

今回は、薬剤師の給料や多様な働き方、給料を上げる方法について解説しました。

薬剤師の平均年収は544万円と、ほかの職業に比べて給料が高く設定されています。しかし、働き方によって給料は変わるため、注意が必要です。

また、勤務する地域によっても給料は異なり、都市部よりも地方部のほうが給料が高く設定されています。ただし、地方部で薬剤師として働くことには、メリットばかりではありません。仕事量が増えるなどデメリットもあるため、両面を把握したうえで判断することが大切です。

薬剤師に就職もしくは転職する場合には、今回の記事を参考に、勤務先についてしっかりリサーチしたうえで、自分に合った職場を見つけましょう。