薬剤師の転職お役立ちコラム COLUMN

2021/02/22

薬剤師が負う責任とは|調剤過誤を防止するためのポイントも解説

信頼性の高い専門職として活躍できる薬剤師は、人気の高い職業といわれています。しかし、薬剤師の主な仕事である調剤業務は、非常に責任の重い仕事です。

ミスが発生すると、大きな騒動につながることもあります。薬剤師を目指す場合は、薬剤師が背負う責任や、調剤過誤を防止するためのポイントを事前に把握しておきましょう。

この記事では、薬剤師が負う責任について解説します。調剤過誤の事例や、調剤過誤を防止するポイントも解説するため、薬剤師が負う責任を知りたい方は参考にしてください。

1.薬剤師の法的責任

薬剤師は、刑事責任・行政責任・民事責任の3つの大きな法的責任を負っています。

調剤過誤などのミスによって患者さんに健康被害が生じた場合、薬剤師は法的な責任だけでなく、社会的な責任も負わなければなりません。

ここでは、どのような場合に法的責任を追求されるのかに関して、また処罰の具体的な内容を解説します。

1-1.刑事責任

刑事責任は、国に対する責任を追求します。

薬剤師が調剤過誤などのミスを引き起こした場合、業務上過失致死傷罪(刑法211条)に問われる恐れがあります。患者さんの健康被害が軽度の場合、刑事責任を問われることは多くありません。しかし、健康被害が重大であったり薬剤師の過失が重大であったりした場合は、刑事責任を問われることが多くなります。

一方、調剤過誤を引き起こしてしまった場合でも、患者さんに健康被害が見られない場合は、罪に問われることがありません。

ただし、過去に起きた調剤過誤によって、薬剤師が執行猶予つきの禁固刑の判決を受けたり罰金刑に処されたりしたケースは存在します。

1-2.行政責任

行政責任は、厚生労働省に対する責任を追求します。

薬剤の過剰投与などによって重大な事件を引き起こした場合、厚生労働大臣によって薬剤師の免許が取り消されたり、業務停止の命令を受けたりすることがあります。罰金刑以上の刑罰が確定した場合に、このような処分を受けることが多い傾向です。

しかし、必ずしも処分が課されるわけではありません。厚生労働省によって処分が必要と判断された場合にのみ、処分が課されます。

過去の判決では、患者さんに重大な被害を与えた場合において、業務停止などの処分を受けることが多くなっています。

1-3.民事責任

民事責任は、薬剤師・病院・薬局などに対する責任を追求します。

調剤ミスなどによって被害者である患者さんが被った損害を、金銭で補償することを損害賠償といいます。民事責任は、患者さんが被った被害と薬剤師の過失に因果関係が認められた場合に生じるものです。

たとえば、薬剤師の調剤ミスが発覚したあとすぐに患者さんへ連絡し、患者さんが服薬することを防げた場合などは民事責任に問われることがありません。薬剤師が調剤ミスを引き起こした事実は変わらないものの、患者さんに実害が及ばなかった場合は、金銭で補償すべき損害はないと考えられるためです。

2.薬剤師が責任を問われる調剤過誤の事例

調剤過誤などの重大なミスを引き起こさないためには、実際にどのような事例が起こりやすいのか、把握することが大切です。事例を把握しておけば、調剤過誤を未然に防ぎやすくなります。

ここでは、薬剤師が責任を問われる調剤過誤の事例に関して、よくある事例を紹介します。

2-1.数量の誤り

1つ目によくある事例は、数量を誤ってしまうことです。必要以上に薬を摂取してしまうと、患者さんの体調に異変が生じるだけでなく、最悪の場合は死に至るケースもあります。

たとえば、ある薬の調剤量を「0.5mg」としていたものを、誤って「5.0mg」と認識してしまうと、重大な事故につながる可能性があるでしょう。

実際に調剤をする場合は、処方量を複数回に渡って確認することが必須です。余裕があれば他の方にもチェックをしてもらうと、ミスが防ぎやすくなります。

2-2.薬剤の取り違え

2つ目によくある事例は、処方する薬剤そのものの取り違えです。数量の誤りは大きなミスとなりますが、薬の取り違えも同様、患者さんの体に大きな影響を与えてしまいます。

取り違えは、薬の名称と形状の両方が似ているときに起こります。特に取り違えが起こりやすい例は、「アルマール」と「アマリール」です。
アルマールは血圧を低下させる目的で投与する薬剤である一方、アマリールは糖尿病の治療に用いる薬剤です。アルマールとアマリールを取り違えた場合、最悪のケースでは死に至る危険性もあります。

取り違えを防ぎたい場合も、数量の確認と同様に複数回チェックすることが大切です。

3.調剤過誤を防止するためのポイント

謝罪だけでは済まされない調剤過誤は、患者さんや家族だけでなく、薬剤師自身にとっても最悪の事態を招いてしまう恐れがあります。重大な事件を引き起こさないためには、常日頃から調剤事故などのミスを防止する心がけが必要です。

ここでは、薬剤師が調剤過誤を防止するためのポイントを4つ紹介します。

3-1.小さな疑問でも疑義照会を行う

患者さんへの調剤ミスを防止するためには、処方箋を過信することは避け、どれほど小さい疑問でも医師に対して疑義照会を行うようにしましょう。

疑義照会を行うと、医師に迷惑をかけてしまうことを心配する方も少なくありません。しかし、この作業が重大な事件を防止することにつながる場合もあります。万が一処方箋の文字が読みにくい場合などは、徹底して疑義照会を行ってください。

3-2.複数の処方箋には細心の注意を払う

調剤薬局を訪れる患者さんは、複数の処方箋を持参することがあります。また、すでに別の医薬品を服用している可能性もあるでしょう。
このような場合は、薬の飲み合わせやそれぞれの成分が重複していないかなどについて、チェックすることが必要です。

お薬手帳を持参する患者さんであったとしても安心するのではなく、必ず個別のヒアリングを行いましょう。過去にお薬手帳を持参しなかったことがあれば、一部の薬歴データは記載されていない可能性があります。

3-3.いつも通りの処方という思い込みを排除する

ご年配の患者さんの場合は持病を抱えていることが多いため、「処方内容はいつもと同じ」というケースが多く見受けられます。しかし、たとえいつも通りであったとしても、本当に処方内容が正しいかどうか疑う習慣をつけましょう。

確認作業を習慣化することは、調剤過誤などのミスを防ぐことに効果を発揮します。

3-4.患者さんとのコミュニケーションを大切にする

処方箋に記載された薬は、患者さんの症状を和らげるために医師が必要と判断したものです。しかし、調剤業務においては薬剤師も患者さんとコミュニケーションを取ることで、処方箋の矛盾点や疑問点を発見できることがあります。

処方箋には飲み薬が記載されているのにもかかわらず、患者さんが「今日は塗り薬をもらいに来た」と話すこともあるでしょう。患者さんが来院した目的や症状、ライフスタイルなどについて質問することで、処方箋との矛盾がないか確認することが重要です。

まとめ

今回は、薬剤師が負う責任や、調剤過誤の事例と調剤過誤を防止するポイントなどを解説しました。

調剤過誤などのミスを引き起こした場合、最悪のケースでは患者さんを死亡させてしまう危険性があります。ミスを起こさないためには、ミスを防ぐ環境づくりが必要です。個人レベルで確認作業を強化したり、勤務する職場の同僚とダブルチェックを徹底したりする必要があります。

ミスを100%防ぐことは難しいものの、防止するためのポイントを把握していれば、ミスの発生を防ぎやすくなります。薬剤師を目指す場合は、今回の記事で紹介した内容を実践して信頼される薬剤師を目指しましょう。

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