ご両親はお医者様という家系に育ち、高校の得意科目は理系科目だったため、薬剤師を目指すのは本人にとって自然なことだったようです。ご自身が目指す薬剤師の理想像は、「ただ薬を調剤すること」ではなく、患者さん、お客さんと直に触れ合うOTC販売の仕事であったと伺いました。

しかし、ご親族からの強い勧めもあり宮崎県宮崎市の総合病院に就職をして臨床の現場に立つことにされたそうです。忙しく働くなかでも、患者さんとのやり取りにやりがいを感じることもあったのですが、OTC販売に対する思いを捨てきれず、1年間勤務をした病院を退職されました。

初めての転職活動でしたが、やりたいことはOTC販売と明確に定まっていたので、全国規模のドラッグストアへ自分でエントリーして就職をされたそうです。「総合病院で勤務をしていたころよりも能動的に仕事に取組めて、全国各地の人員不足の地域を転々とすることも苦にならなかったです」と話してくださいました。

5年間ハードにお仕事をされましたが、当時お付き合いされていた方と結婚することが決まり、実家の熊本県に帰ることになりました。全国規模のドラッグストアで勤務をしていたので転勤すれば仕事を続けることは可能でしたが、「早く子供が欲しい」という気持ちが強く、退職することにされたそうです。

幸いなことにすぐに子供を授かることができたので、仕事のことはすっぱり忘れて家事・育児に専念されました。仕事から離れて5年が経ち、お子様が幼稚園に通うようになると、時間にも余裕ができます。そのタイミングで将来のことも考えて仕事を再開しようと、弊社ファーネットキャリアへ問い合わせを頂きました。

弊社では薬剤師さんのご希望を深く理解するために、お近くまで伺ってカフェなどで面談をさせて頂いております。今回も熊本市のご自宅近くのカフェまでお伺いして、以下のような希望を伺うことができました。

• ・扶養内でのパート勤務ができること
• ・旦那様の仕事の兼ね合いから月水金で勤務ができること
• ・子供の送り迎えがあるので9時半～15時半の時間帯で勤務できること
• ・自宅から30分以内で車通勤できること

条件部分は子育てをされる方が一般的に希望される条件だと感じましたが、困ったことに希望業種は「調剤なしのOTC販売ができるドラッグストア」でした。少し前は問題なかったのですが、時代の流れから「調剤併設型ドラッグストア」が増加し、純粋なOTC販売だけの求人は少なくなってきていたのです。

正直に求人がほとんどないことをお話して調剤薬局でのパート勤務を提案したのですが、「調剤未経験」「5年のブランク」「パート勤務を希望」という部分にかなり不安を感じていらっしゃいました。

そこで調剤薬局の場合は「未経験・ブランクであることを理解してくださり、復職支援が手厚いこと」を条件にすることで、薬剤師さんも承諾してくださいました。

しかし、安心してくださった薬剤師さんとは裏腹に、こうしたハードルの高い求人案件を私たちが見つけることができるか不安になったのを覚えています。

会社に戻ってOTC販売の求人から探し始めたのですが、案の定、すべてのドラッグストアから良いお返事を頂くことができませんでした。そこですぐに調剤薬局へ切り替えて求人を探すと以下のような2つの調剤薬局から面接の希望を頂くことができたので薬剤師さんに提案しました。

• ①熊本市外にはなるが30分以内で通勤可能な全国規模の薬局
• ②薬剤師会が運営していて薬剤師会のサポートが手厚い薬局

どちらの薬局も話を聞いてみたいとのことでしたので、面接をセッティングして同行をさせて頂きました。面接のとき、薬局側から「ブランクからの復職支援の体制」について詳しく話をしてくださり、一緒に働くスタッフさんとのお顔合わせの時間も作ってくださいました。

面接が終わってすぐに、どちらの薬局からも採用のお返事を頂けたので、薬剤師さんにお伝えすると「どちらも素敵な薬局だったので少し考えさせてほしい」とのことでした。

薬局にもその旨を伝えてお返事を待っていると、一週間後に連絡が来て「①の薬局でお世話になることに決めました」とお返事を頂きました。かなり悩んでいらっしゃったのですが、最終的に「研修制度がしっかりと確立されている」、「年齢の近い方が多く早く職場に馴染めそうだった」という2点が決め手となったと話してくださいました。

後日、入職をされた薬局の人事担当と話すことがあり薬剤師さんの近況を聞いてみると、「OTC販売で培った抜群の人当たりの良さで、スタッフからも患者さんからも評判がいいですよ」と仰って頂けました。

薬剤師さんにも電話をしたところ、「まだまだ慣れないですが、いい環境で仕事ができています。管理薬剤師さんと年齢も同じで話が合うんです」と満足していらっしゃる様子でした。

ブランクから復帰をする際、新薬の情報だけでなく、診療報酬改定など勉強しなければならないことが多いです。この部分について不安や抵抗を覚える薬剤師さんがほとんどです。

そうしたとき、調剤未経験やブランク可の調剤薬局を検討してみてください。このとき、「ブランクあけの研修」を手厚くしてくれる環境が望ましいのは言うまでもありません。ただ、そうした調剤薬局を薬剤師さんが自分で調べるのは難しいのが現状です。もしブランクから復帰を考えている薬剤師さんがいらっしゃいましたら、ファーネットキャリアまで一度お問い合わせください。