この薬剤師さんは高校卒業と同時に地元滋賀を離れ、大阪の薬科大学へ進学されました。大学を卒業してからも大阪で働くことを選び、関西で店舗展開をする大手薬局チェーンに新卒入社されたそうです。配属されたのは大阪市の店舗でしたが、ほかの店舗のヘルプ勤務もしながら仕事に励んでいらっしゃいました。

公私ともに順調で、3年勤めたころにお付き合いをしていた方との結婚も決まり、大阪府高槻市へ転居して新婚生活をスタートさせました。ただ、結婚してからも仕事は続けたいと考えていたので、同じ大阪市の店舗まで1時間半かけて通勤していらっしゃったそうです。

結婚してから1年が経ち、長い通勤時間にも慣れてきたころに、旦那さんの子供を授かりました。それでも仕事を辞めることはなく産休に入るぎりぎりまで勤務を続けたと話してくださいました。その後、出産予定日より少し早かったのですが、無事に元気な女の子を出産し、幸せな家庭を築いていこうと決心されたそうです。

しかし、産婦人科を退院して家での生活が始まると、子供の夜泣きに旦那さんがイライラを募らせるようになりました。その結果、旦那さんは心に余裕がなくなってしまい、夫婦でけんかをすることが増えたそうです。

ただ、薬剤師さんも育児に手いっぱいだったので、解決に向けて話し合うという機会を作れず、すれ違ったままの生活をしていました。そんな生活が長続きするはずもなく、子供が1歳のときに離婚されたそうです。

まだ子供が小さく頼れる人も近くにはいませんでしたが、働かないわけにはいかない状況だったので、子供を保育園に預けて職場へ復帰しました。産後の時短勤務制度を利用して、夕方まで勤務してから子供を迎えにいっていたそうです。

時短勤務は子供が3歳まで利用することができたのですが、通常勤務に戻った際の帰宅時間や体力的な負担を考えると育児と仕事の両立は難しいと感じていらっしゃいました。そこで、6年勤めた薬局を退社することを決意して弊社ファーネットキャリアへ相談を頂きました。

弊社ファーネットキャリアでは薬剤師さんの希望をヒアリングするために、お近くまで伺って面談を行います。都合のよい日程を伺うと、平日は朝から晩までフル稼働していらっしゃったので、お休みの日に大阪府高槻市のカフェでお子さんも一緒に話をさせて頂きました。

ただ、1歳の子供が長時間大人しくしているのは難しいです。そこで、手短に要点を押さえてヒアリングを行い、以下のようなご希望を伺うことができました。

• ・滋賀県大津市の実家の近くで両親の協力を得やすいこと
• ・通勤は自宅から車、もしくは公共交通機関で30分以内
• ・子育てに理解があり、子供に急病などのときに融通が利くこと

今回のようなママ薬剤師の転職支援をするとき、特にリクエストがなくても弊社ファーネットキャリアでは「子育てに理解がある職場であるかどうか」を確認するようにしています。ただ、弊社が薬剤師の転職事業を開始したとき、最初の頃は「実際に働き始めると、事前に聞いていたより残業が多い」など、実態が伴っていないことがありました。

そこで、「産休育休の取得状況」「育休終了後に職場復帰する人の割合」など具体的な数字を確認するようにしてから入社後のミスマッチが減りました。今回も産休・育休の実績を確認しながら求人を取り付けていると、関西地方の大手薬局チェーンから「託児所が併設された店舗の求人」を頂くことができました。

滋賀県大津市にある実家との距離も近く、この薬剤師さんはまだ保育園が決まっていませんでした。そこで、すぐに薬剤師さんへ電話で伝えたところ非常に興味をもってくれました。まだリサーチが済んでいない薬局も多かったのですが、他の人の入職が決定して求人が無くなると困るので、先に1件だけ面接に伺うことにしました。

薬剤師さんの休みに合わせて面接を設定して、当日は私も面接に同行をさせて頂きました。薬局の採用担当者から産休・育休の支援制度について説明してもらい、実際の店舗と託児所を見学させてもらいました。面接を終えると既に夕刻で日が傾いており、実家に預けているお子さんのことを心配していらっしゃったので、その日はそこで別れました。

次の日に電話で薬局の印象を聞くと、「託児所付きの薬局があるなんて考えてもいなかったのでびっくりしています。実家からも近いし、子供になにかあってもすぐに対応できるので安心ですね。もし採用してもらえるならお世話になりたいと思います」と話してくれました。その後、面接に行った薬局からも採用の連絡があり、無事に入職して頂きました。

入職から1ヶ月がたったころに、アフターフォローの電話をすると、「とてもいい職場です！　周りのスタッフも託児所を利用しているので、子供に何かあったときも自然とお互い助け合うことができています。まだ知り合いは少ないんですけど、職場で育児の悩みも相談できて、一人で抱え込まなくてすみます」と話してくれました。

仕事と育児の両立は環境が整っていても非常に大変です。また薬局の経営者は男性が多く、男性目線で制度が作られていることがあります。そのような場合は制度があっても働きにくいと感じることがあります。

今回の薬剤師さんは、滋賀県大津市にある実家の近くに転居して、託児所付きの薬局で働くことで上手にバランスを取ることができました。しかし、いまだに子育てに対する理解がある環境は少ないのが現状です。もし、子育てと仕事の両立に不安を感じていらっしゃる薬剤師さんがいらっしゃいましたら弊社ファーネットキャリアまでお気軽にご相談ください。