東京の大学卒業時、今後の成長が見込める分野での研究職を希望していたのですが、求人がなかったので地元の小規模薬局へ就職をされました。薬局で勤めながらも、どうすれば成長分野で活躍をすることができるのかを考えていたそうです。

新卒で入った東京の薬局は結婚、奥さんの出産の兼ね合いから実家のある長野県へ転居が必要になったことと、薬剤師不足による超過勤務が続いたため5年で退職をしました。

この頃から将来的に独立することを視野に入れていたため、「マネジメントを経験できる環境」での勤務を考えていました。

そこで、中規模薬局で勤務をスタートします。面接時からマネジメントに興味があることを伝えていたこともあり、1年後には2～3店舗を任されるようになったそうです。

最終的に10店舗のマネジメントを任され、新規店舗の立ち上げを6店舗、既存店舗の移転を2店舗任されました。

しかし5年勤めた頃に、大手薬局へ買収されることが決まり、買収に関わる各種引継ぎ業務を終えたタイミングで退社をされたそうです。

退職後、独立をするか悩んでいらっしゃったのですが、知人から面白そうな仕事の誘いがありました。派遣薬剤師として薬局で勤務をしながら、店舗の問題点を抽出し、赤字の薬局を再建したり、薬局の新規立ち上げのサポートをしたりするという内容でした。

このときは前職で学んだ店舗運営のノウハウが役に立ち、精神科の門前薬局をわずか10ヶ月で黒字へ転換させることに成功しました。

各薬局との派遣契約が1年間のため、1年ごとに別の薬局へ勤務をし、3つの薬局の新規立ち上げを任されました。

そして、ちょうど契約満了というタイミングで知人から一緒に会社を立ち上げる話が舞い込んできました。「薬局の経営」と「薬剤師派遣」の2本柱をすることになり、将来的に「薬局の経営」は任せて頂けるという話だったそうです。

悩んだ末に新会社の立ち上げをすることを決意しました。会社の立ち上げは苦労の連続だったそうで、ほぼ1人薬剤師として眼科の門前店舗に立ちながら、経理・経営全般を任されていました。

それでも薬局を譲ってもらえるという言葉を信じて頑張ってきましたが、6年が経過して経営が安定してきても、そういった気配は無く不安に思ったようです。そこで年齢的なことを考えてもラストチャンスと考えて、弊社へご相談を頂いたそうです。

苦労を重ねながら様々な経験を積まれていらっしゃいましたが、非常に腰が低く、初対面の人に対しても好意をもって柔軟に対応ができる素晴らしい薬剤師さんでした。それに加えて粘り強く物事を最後までやり遂げる根性を持ち合わせていたので、どちらの薬局に対しても自信を持って提案ができると考えていました。

しかし希望する条件の高さもそれ相応のものでした。

• ・年収は650万円以上であること
• ・将来的に事業（店舗）譲渡を検討できること
• ・長野市内
• ・診療科目は問わないが地域性や将来性を重視
• ・自身の会社からの派遣薬剤師として勤務ができること

事業譲渡を希望している薬剤師さんからの相談は少ないですが、過去にお手伝いをしたことがありました。しかし「派遣薬剤師として勤務する」という部分がかなりネックになりました。法律によって派遣社員は最長3年しか勤務ができなかったからです。

大手薬局のフランチャイズというスタイルでの独立はしたくないとのことでしたので、リサーチの対象を長野県の個人薬局～小規模薬局に絞り込んでリサーチをしました。

薬剤師さんの性格的に中途半端な求人案件では納得してくださらないだろうと思い、長野市内と周辺の薬局全てにリサーチの電話をしました。

普段、個人薬局まで電話をする機会は少ないので、弊社ファーネットキャリアの説明をゼロからすることも多く、非常に時間がかかりましたが、最終的に以下の3つの薬局から求人を取り付けることができました。

• ①2店舗を展開する個人薬局
• ②3店舗を展開する個人薬局
• ③7店舗を展開する小規模薬局

薬剤師さんに伝えると、すべての薬局で面接を受けたいとお返事を貰いました。弊社ファーネットキャリアでは面接にも同行をさせて頂いて、薬剤師さんと薬局がお互いに悔いが残らないようにお手伝いをさせて頂きます。

当然、今回も同行させて頂いたのですが、会社経営に関する知識も豊富に持ち合わせていらっしゃいましたので、薬局の将来性や事業譲渡のことも含めて、しっかりとお話をされていらっしゃいました。どちらかというと、私のほうが勉強をさせて頂いているような気持ちでした。

無事に面接を終えて現在の気持ちを伺ってみると、「①と②の薬局」から良いお返事がもらえるのであればお世話になりたいとのことでした。

私個人の意見ですが、「③の薬局」が店舗数も多く、社内の体制もしっかりとしていたので、こちらを選ばれるのではないかと思っていました。理由を伺うと、「個人薬局が抱える在庫問題、狭い環境で起こる人間関係のトラブル、未熟な制度が原因で発生する諸問題を解決する中でご自身も成長していきたい」とお返事を頂きました。

しばらくして薬局から合否の連絡を頂きました。すべての薬局から良いお返事がもらえるものと思っていたのですが、「①の薬局」からはお断りされてしまいました。薬局として「かかりつけ薬剤師」の算定条件を満たす方向に進みたいが、契約社員では1年更新になってしまい算定条件を満たせないからとのことでした。

薬剤師さんも非常に残念そうでしたが、最終的に「②の薬局」でお世話になりたいとお返事をくださいました。

長野県長野市の薬局へ入職後、しばらくして薬剤師さんからお手紙が届きました。諦めずに求人を探してくれたことに対するお礼と、簡単な現状報告でした。

人間関係は非常に良好で働きやすいが、在庫管理や人員配置など無駄が多いのでやりがいをもって働けているとのことでした。

今回のようなケースは珍しいですが、弊社ファーネットキャリアでは独立を考えていらっしゃる薬剤師さんの支援実績も豊富にあります。独立と一口にいっても様々な方法があるので、興味のある方はぜひお問い合わせ下さい。