コーディネーターレポート REPORT

東京都TOKYO

M&Aによって買収され、経営方針が変わった薬局からの転職事例

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薬価・調剤報酬改定や後継者不足などを理由に経営が苦しくなった薬局が、M&Aによる買収でほかの薬局の傘下に入ったという話は薬剤師なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

薬剤師専門の転職エージェントである弊社ファーネットキャリアにはさまざまな理由から転職を考えている薬剤師さんがいらっしゃいます。そのなかには、薬局の買収をきっかけに経営方針や給与体系が変わったことを理由に転職をされる方がいらっしゃいます。

例えば、以前に東京都八王子市にお住まいの40代男性薬剤師さんから相談を頂いたことがあります。20年働いてきた薬局が大手調剤薬局にM&Aによって買収されてしまったため、同じ東京都八王子市にある調剤薬局への転職を手伝わせていただきました。

東京都八王子市の超繁忙店でキャリアスタート

この薬剤師さんは東京の薬科大学を卒業され、東京都八王子市の調剤薬局で勤務を開始されました。ただ、薬科大学での在学中に風邪をひいて医療機関を受診したとき、薬剤師の機械的な対応を見て、「こんな薬剤師にはなりたくない」という思いがこみ上げてきたそうです。

それからは、「患者さんに気持ち良く帰ってもらう」という思いを胸に抱きながら仕事に励んできたそうです。その薬剤師さんは私に対して「自分の薬剤師の原点はここでしたね。大学を選んだのも国家資格を取れば仕事に困らない程度の気持ちでしたので……」と話してくれました。

最初に配属になった店舗は総合病院の門前店舗でした。とにかく忙しい店舗で嫌でも効率化を考えざるを得ない環境だったそうです。入った当初は「病気で弱っている人相手にするのだから、しっかりと話を聞いてあげる時間が大切だ」と考えいらっしゃいました。しかし、1年経つと「効率を上げて待ち時間を減らしてあげることが最終的に満足してもらえる」と考えるようになっていたそうです。

入社から5年が経ち、「患者さんに気持ちよく帰ってもらう」という気持ちに変わりはないものの、効率を高くしてで処方せんをさばく機械のようになっていたそうです。そんなときに人員不足から群馬県に1つだけある店舗への転勤が決まりました。この転勤がこの薬剤師さんにとって大きな転機になったそうです。

群馬県高崎市のゆったりした薬局での気づき

新しい群馬県高崎市の店舗は、東京都八王子市の店舗とは打って変わって、内科クリニックの門前にあるゆったりとした店舗でした。そのギャップから「今まで積み上げてきた効率化の技術を活かせない」と、当初はやりがいを感じることができなかったそうです。

しかし、一緒に勤務をしていた薬剤師さんから、「薬の準備が早いから、服薬指導に時間をかけることができてうらやましいです」と言われたときに、「機械的に患者さんへ対応する」という自分がなりたくないと思っていた薬剤師になっていると気づいたそうです。

それからは効率良く薬の準備をするところは変えず、「しっかりと患者さんの話を聞いてあげる時間」を大切に仕事をされました。「一人一人の患者さんと初めてきちんと向き合った気がします」と当時のことを思い出しながら話してくれました。

群馬県高崎市の薬局での勤務は人員不足の解消にともない2年間で終わり、再び東京の店舗へ戻ることが決まりました。

再び超繁忙店でのキャリアスタート

東京では八王子市の店舗に再配属されましたが、以前のような機械的な対応はやめて「笑顔」と「患者さんの顔と名前を覚えて声をかける」ことを意識して働きました。

店舗のミーティングでも群馬県で感じたことを伝えて店舗全体が変わるように働きかけていったそうです。そういった姿勢が評価され、会社全体の人事や月報の管理を任されるようになり、経営者的な視点も養われていきました。

しかし17年勤務をしたとき、より大きなスケールメリットを享受するために大手調剤薬局チェーンにM&Aによって買収されることが決まりました。

ただ、買収されてからは少しずつ社内組織や経営のスタイルが変わり、より効率化に重点を置き、営利目的の改変がどんどん推進されました。疑問を感じながらも勤務を続けましたが、ある日、経営側から「足の悪い患者さんが座っている席まで薬を持っていくことを非効率だからやめるように」と言われたことがあったそうです。

それを聞いて「この薬局ではもう働けない」と退職を決意され、弊社ファーネットキャリアへ相談を頂きました。その薬剤師さんに求人案件を提案する前に、東京都八王子市にあるご自宅近くのカフェで面談をさせて頂きました。コーヒーを飲みながら1時間ほどお話をさせてもらい以下のように希望を伺うことができました。

  • ・通勤は八王子駅から公共交通機関で45分以内
  • ・年収650万円を可能な限り維持できること
  • ・利益第一ではなく顧客満足の先に利益がついてくるような考えをもった薬局

お話していても言葉の端々から他人を思いやる気持ちが感じられ、非常に好印象でした。「処方せん枚数を相手に仕事をするのではなく、患者さんを相手に仕事をしていきたい」という言葉もうわべだけではないことが伝わってきました。

また、これまでは総合病院の門前での勤務がほとんどでしたが、「今度は処方元のドクターと一緒に、患者さんに対してより良い医療を行いたい」と話していたので、開業医門前の店舗に絞ってリサーチを行うことにしました。その結果、以下の2つの薬局から求人をもらうことができました。

  • ・関西を中心に展開をする中規模薬局
  • ・東京都内に展開する小規模薬局

薬剤師さんに確認してもらうとどちらの薬局も面接を希望されました。すぐに面接の日時を調整して、当日は薬剤師さんに同行をさせて頂きました。

面接時にドクターとの面会をセッティング

今回、面接・店舗見学だけではなく、面接に行く店舗とタッグを組んでいるドクターとお話しする時間を作れないか打診をしていました。かなり難しいお願いだったので、①の薬局からは断られてしまったのですが、②の薬局は快く対応してくださいました。

この時点で私は、①の薬局では「ドクター>薬局」という構図で、②の薬局はドクターと薬局が対等に近い良い関係を築けているのだろうと感じました。

実際に両方の薬局の店舗見学・面接に伺うと、②の薬局の処方元ドクターは非常にフランクに話をしてくださり、患者様のために連携をとることを前向きに捉えていらっしゃいました。

面接後に、2つの薬局に対する印象を伺うと、「①の薬局が悪いというわけではなかったのですが、私(薬剤師さん)が求めていることに近かったのは②の薬局でした」と話してくれました。

次の日には②の薬局からも「採用通知」が届き、2か月の退職期間を経て、無事に入職することができました。

1か月が経ったころにアフターフォローの連絡をしてみると、「総合病院の門前にいたころに追及していた顧客満足は、待ち時間の削減やいい気分で帰ってもらうなど、患者さんの健康に直接関係ない部分でした。でも今はドクターと連携して、患者さんの健康という最大の目的に向かって働いています。とてもやりがいがありますよ」と嬉しそうに話してくれました。

薬局の業界に限ったことではないですが、企業の買収や合併によって会社の進む方向や給与体系が変わってしまうことはよくあります。いい方向に変わっていく場合でも、変化には大きなストレスを伴うことが多いです。

ただ、今回の薬剤師さんのようにM&Aによって環境が変わり、本当の意味で自分のやりたいことと逆行してしまうような場合があります。そのようなとき、転職を検討された方が良いかもしれません。もし同じように職場と自分の方向性にギャップを感じている薬剤師さんがいらっしゃいましたら、ぜひファーネットキャリアまでお問合せください。

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