薬剤師が知るべき法律知識 LAW

薬剤師が扶養範囲内で働く際に注意すべき点

薬剤師が扶養範囲内で働く際に注意すべき点のイメージ

薬剤師の資格を持っている場合では、パートであっても給与水準が比較的高く、時給にすると2,000円以上の薬局が多いです。中には単発で時給4,000円を超える薬局もあり、一般的な職業の数倍の給料をもらうことができます。

一般的なパートに比べるとはるかに高給であるので、これらの時給を年収に換算したうえで、働き方を考えていくことが必要とされます。

2017年の税制改正によって配偶者控除などが一部変化しましたが、一般的にいわれる103万円の壁や130万円の壁といった税制についても知っておかなくてはなりません。

今回は、主婦(主夫)の方がパートで働く場合に、どのような点に気を付けて働けばよいのかをご説明させて頂きます。

税金と社会保険の基礎知識

給与収入を得ている場合には、収入に応じて税金(住民税および所得税)や社会保険料(健康保険および年金)が課せられます。

これらの税金や社会保険料は全ての収入に対して一律で請求されるのではなく、年収ごとに計算方法が定められています。

頑張って収入を増やしたとしても、税金が増えるために実際の手取りが思うように上がらない場合もあるので、税金や社会保険の知識を付けて賢く稼がなくてはなりません。

特に旦那など配偶者の方が正社員などで働いている場合には、パートの方の年収が一定を超えるまでは配偶者の方の扶養に入ることができます。

被扶養者であれば社会保険料(健康保険および年金)はかからないので、こうした制度を活用することが重要となります。

年収が103万円以下の場合

まず、パートの方の収入が103万円以下であれば、税金を含めたこれらの費用はほとんどかかりません(住民税は自治体により93万円から100万円を超えるとかかりますが、負担があったとしても数千円程度のため、ここでは「ほとんどかからない」としています)

このため、年収103万円以下であれば、得た収入をそのまま手取りとすることが可能となります。

また、以前は103万円という金額は配偶者控除が受けられなくなる年収でもあったため、103万円の壁がより重要とされていましたが、2018年からは150万円まで増額されたので、配偶者控除という観点での103万円というラインはそこまで気にする必要はなくなりました。

年収が103万円~130万円(一部106万円)の場合

年収が103万円を超えると、所得税と住民税を支払うことが必要となります。所得税は年収に応じて累進課税となるため、130万円程度の年収であれば1万円程度の所得税となります。住民税についても、数万円程度であるため、そこまで気にする必要はないでしょう。

現在では103万円の壁はほとんどなく、あったとしても1万円ほどの税金がかかるだけです。

ただ、130万円を超えてしまった場合には社会保険に加入する必要があるので、基本的にはこの130万円の壁は超えない方が良いとされています。ただし、一部の方においては、130万円の壁が106万円となる場合があります。

これは1年以上の勤務の見込みがあり、週20時間以上労働する場合、パート先の企業が501人以上であれば適応されます(ただし、薬剤師で週20時間以上働く場合には年収○○万円ほどになって大きくオーバーすることや、従業員が501人以上の薬局は一部の大手に限られるため、ここでは大きくは触れません)

年収が130万円以上の場合

年収が130万円を超える場合には、所得税と住民税はさらに大きくなり、加えて社会保険に加入しなくてはなりません。

手取りだけで考えれば、年収120万円と140万円はほとんど同じになってしまうので、130万円を超えてしまうと損をしているように感じやすいでしょう。社会保険料を支払う分だけ、手取りが少なくなってしまうのです。

しかしながら、社会保険に加入することで将来の年金が増える、病気や怪我の際にも傷病手当金が出る、出産の際にも出産手当や出産一時金が出るといったメリットはあるので、目先の手取りだけを考えることは早計でしょう。

自身のワークスタイルや将来のプランを考えながら、時にはあえて130万円以上を目指すことも必要であると考えられます。

ちなみに、150万円を超えると配偶者控除が無くなってしまいますが、現在では配偶者特別控除として段階的に控除が認められています。

150万円を超えたとしても直ちに控除が無くなるわけではないので、あまり考える必要はないため、ここでは割愛させて頂きます。

201万円の壁とは

「201万円の壁」とは配偶者特別控除といわれ、2017年までは「141万円の壁」と言われていました。

配偶者の方の給与収入が1,220万円(所得1,000万円)以下である場合には、パートの方の年収が150万円までは配偶者控除を受けることができます。これにより、配偶者の方の所得を圧縮することができます。

一方で、あなたの年収が150万円を超えてしまった場合には、201万円まで段階的に、配偶者特別控除という控除を受けることができます。

この配偶者特別控除があるので、150万円のラインはそこまで気にする必要は無いでしょう。

配偶者の会社の「手当て」に注意

これらの税金や社会保険料以外にも、配偶者の方の会社に「配偶者手当て」というものが支給される場合があります。これは、扶養をしている配偶者がいる場合に、毎月若しくは決まった月に手当てが支給されます。

月1万円としても、年間で12万円の手当てとなります。130万円を少し超える場合にはかなりの損になってしまうと考えられます。

配偶者の方の手当てについて詳しくない場合には、担当の部署の方に確認をしてみると良いでしょう。

薬剤師は高給であるため、103万円の壁や130万円の壁を超えてしまいやすい

薬剤師の給料を仮に時給2,000円とした場合、1日8時間で週に2日勤務した場合には、想定される給料はどうなるでしょうか。このとき、以下のようになります。

時給2,000円×8時間/日×2日/週×52週(1年間)=166万2000円

これは時給を2,000円としていますが、仮に時給が3,000円であった場合、週1回の勤務で124万8000円となってしまいます。

時給3,000円×8時間/日×1日/週×52週(1年間)=124万8000円

繁忙期などに多く入ることや、薬歴の記載などで残業が必要となった場合には、103万円や130万円に給料を抑えることがいかに難しいかわかります。

薬剤師は季節によって需要が異なる点に注意

一般的な仕事とは異なり、薬局の仕事は季節性があります。具体的には冬は風邪が増えるので病院の受診率が上昇して、他の季節よりも人手が必要となります。

また、皮膚科などでは夏場は日光が強いことや、あせもなどの疾患が増えることで、夏に患者さんが増えることが想定されます。皮膚科の門前である薬局では夏に処方箋量も増えるため、勤務時間もより多くなると考えられます。

つまり、働いている調剤薬局の季節変動を考えた上で、1年間の収入を考えなくてはなりません。年収は1~12月で計算するため、冬場に混み合う薬局であれば、10月を終えた時点で想定する年収の7割程度に抑えるなどの工夫が必要となります。

扶養控除内で働く必要がある場合には、あらかじめ雇用契約の際に雇用主(薬局や病院)に対してその旨を伝えておくことで、トラブルを回避することが可能となります。

具体的にはどうしたら良いのか

ここまで、税金や社会保険、薬剤師の給料について触れてきましたが、具体的にはどのようにしたら良いのでしょうか。基本的には、130万円を超えるかどうかを家族の方と話し合ってみて下さい。

つまり、130万円に抑えて被扶養者のままで働くのか、あるいは130万円を超えて150万円や200万円を目指して働くのかという選択です。

130~150万円といった年収では税金や社会保険の関係で手取りはほとんど変わらず、労働に対するメリットは小さくなります。

一般的な時給であればパートで200万円を目指すことはかなり大変ですが、薬剤師の時給であればそこまで難しくはありません。また、場合によっては年収のことなど気にせず200万円を超えて働くという選択肢も可能です。

ひとたび130万円を超えれば上限を気にする必要は無くなるので、複数の薬局を掛け持ちしたり派遣をたまに入たりなど、様々な働き方の選択肢が出てきます。また、時給についてもより高い薬局で働くことができるので、モチベーションは上がると考えられます。

【例】時給3,000円×8時間/日×3日/週×52週(1年間)=374万4000円

一方でまだお子様が小さい場合や家庭の事情がある場合では、130万円以下を目指す方が良いと考えられます。

これらの場合ではフルパートよりも半日やスポット勤務の方が働きやすいので、1日4時間の週3日などの働き方を検討してみてはいかがでしょうか。

【例】時給2,000円×4時間/日×3日/週×52週(1年間)=124万8000円

まとめ

薬剤師の経験のある方であればご承知のことかと思いますが、医療の世界は日進月歩です。たとえ週1回であったとしても、継続して働いてブランクを作らないことは、今後薬剤師を続けていくうえでメリットが大きいといえるでしょう。

そうした中で、中途半端に働いて扶養を外れてしまっては、非常に勿体ないです。1年間の収入をしっかりとマネジメントすることも、高い時給をもらう薬剤師には求められるのです。

一度、自身の年収について向き合ってみてはいかがでしょうか。

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